人前で話すときのヒント その3 「スライドの一枚一枚に対し、自問する」

落語家の人たちは、ほんとうにすごいな、と思います。

しゃべりと身振りだけで物語を鮮明に伝え、人を笑かし、感動させるのですから。誰にでも出来る芸当ではありません。

しゃべくりだけで何かを、聞き手の興味をひきつつ伝えるというのは、職人芸だと思います。

そんな芸当を、簡単に身につけることができる訳はない訳で。

でも、落語家ではないぼくたちは、何かを伝えるためには、しゃべりのみにこだわる必要はさらさらない訳で。

しゃべり以外の使える道具はどんどん導入しちゃえばいい。

それを自分の武器として使っていくことで、何かを伝える手助けをしてもらえばいい。

授業においては、「黒板」がその役を担ってくれます。

よくありませんか?話を聞いてる最中、ふっと気を緩めた瞬間に、「ん?今なんて言うてた?」なんてことが。

「さっき何て言うてたっけ?」と、それまでの流れを見失っちゃうことが。

話すだけでは、さーっと流れていってしまうわけです。

そんなとき、黒板を使うことで、聞き手に対し、話した内容を残しておくことができます。

重要な事柄や、話の流れを書き残すことで、確認することができるようになります。

書き残しておいてほしいことを、提示することができます。

何かを伝える際に、黒板の役割はいろいろあり、とても大切な部分を担ってくれています。

がゆえに、「そこに何を書くのか?」はとてもとても重要になってきます。

黒板をどのように使うのか?は、非常に研究しがいのあるテーマです。ほんとうに毎度毎度悩ましい。

すべてを書くことはできない

一回の授業で、書くことのできる量は決まっています。

書くという行為は、けっこう時間がかかるもの。それを書き写す時間も考慮に入れなければならず、多くの事柄を、すべて書き残していくなんてことはできません。

黒板に何かを書き付けたり、書いたものを書き写してもらったりする時間ばっかりになるのもちょっとまずい。

なので、黒板に書く内容は、ほんとうに必要なことにしぼりこまなくちゃいけません。

しぼりこむためには、全体として「何を伝えるのか?」をはっきりさせておく必要が出てきます。

「伝えたいこと」を強く意識しなければ、書くべき内容をしぼり込むことは難しいから。

全体を通じて、自分は何を伝えたいのか、何が伝わってほしいのか明らかにしておくことが大切です。

伝えたいただ一つのことをより効果的に伝えるために、「黒板を、何を伝えるために、どう使うのか?」。

そう自問し、「何を伝えるための板書なのか?」を明確にしておかなければ、自分が伝えたいことを、伝わりやすくしてくれる板書を考え出すことはできません。

「何を伝えるための板書なのか?」

この問いは、常々自分に投げかけ、考えていきたいものです。

プレゼンにおいては、黒板のような役割を、「スライド」が担ってくれることでしょう。

「書いて消す」って行為がない分、同じ時間内でも、黒板に比べてスライドではたくさんの枚数を提示することができ、多くの情報を伝えることができます。

その分注意しなければいけないのが、ついつい多くを詰め込み過ぎてしまうこと。

「伝えることは、ただ一つ」この一枚で伝えたい一つのことは何か?

スライドには、伝えたいことを文章にし、いくらでも書いて提示することができます。

それを読み上げ、進行していくって方法をとることもできるでしょう。

でもその方法は、伝えたいことを効果的に伝えるための手段になることは、まずありません。

伝える内容を、話そうと思っていることをすべてスライドに書く必要はないと思いますし、そんなことをしたらスライドが文字だらけになっちゃう。

聞き手になって考えてみましょう。文字がたらふく書かれているスライド。それをただただ読み上げている話し手。。。

そんなプレゼンをされても、うんざりですよね。

そうならないためにも、ほんとうに載せるべきことをスライドに載せる必要があります。

うんざりさせず、それでいて伝わるスライドを作るために必要なこと。

自分に問いかけるべきこと。

常に意識すべきこと。

「この一枚で伝えたい一つのことは何か?」

スライドを考える上でも、「伝えることは、ただ一つ」の原則は生きてきます。

一枚一枚のスライドに対して、「この一枚で何を伝えるのか?」を問う。

一枚一枚伝えたいことが定まったらなら、その伝えたいことを、できるだけシンプルに表現する。

そうして、スライドを話し手である自分の強力な武器に仕上げていきます。

文字は大きめのほうがいい。

図で表現したほうがいい。

一枚に載せる情報は、できるだけ少ないほうがいい。

スライドは、贅沢に使っちゃえばいいんです。

スライドは、あくまでもしゃべりを補助する道具。

スライドだけですべてを伝える必要はない。

ぼくは、あくまでも主役は「しゃべり」という意識でスライドを考えていきます。

しゃべりとスライドをセットで考え、互いに高め合うように。

しゃべりをより効果的なものにしてくれるのが、スライドの役割です。

おわりに

まとめます。

  • スライドの一枚一枚に、「この一枚で伝えたい一つのことは何か?」と問う
  • 文字は大きめに。可能であれば、図で表す
  • 一枚のスライドに載せる情報は、できるだけ少なく、シンプルに
  • スライドは、しゃべりとセットで真価を発揮する

言葉でベラベラしゃべるだけでは、聞き手の心を惹きつけることはなかなかに難しい。

難しいしゃべりの頼もしいパートナーとして、スライドを活用してほしいと思います。

では、お読みいただきありがとうございました。

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