人前で話すときのヒント1 「『きく』と『やる』のミルフィーユ」

ケーキって美味しいですよね。特にぼくはあれが好きです。ティラミス。

でも今日はミルフィーユの話です。おいしいおいしい「パイ生」地と「カスタードクリーム」のミルフィーユではなく、「きく」と「やる」のミルフィーユのお話。

同じことばかりは、あきる

人の集中力ははかない。すぐ集中力は途切れるものです。そして、よっぽど話術に長けており、話の内容がおもしろいものでない限り、「きくばっかり」だと集中力はさらに途切れやすくなっちゃいます。

きくばっかやったら、すぐに飽きちゃう。

この、「飽きちゃう」ってのはなかなかに強敵です。

飽きちゃったら集中はどこかへいってしまいますし、睡魔が襲ってくることもしばしば。

いかに「飽きさせないか」ってのは、かなり大きな問題なのです。

経験的には、15分ほど聞いてくれたらいいほう。10分もたないと考えるくらいでちょうど良いのかもしれません。

「きく」ばっかりだと飽きちゃうししんどいし集中力も切れちゃうし眠くなっちゃう。

そこで、「きく」と「やる」のミルフィーユの登場です。

活動の偏りをふせぐ

きくのばかりでは飽きてしまう原因は、ずっとその活動しかしないから。「きく」という活動だけを強いられると、どう考えてもしんどい、というか、よほど話し手の話術と話す内容に魅力がない限り、集中力を持続させるにも限界があります。

みなさんも一度は経験があるはずです。話の長い人につかまり、延々と話される。なげぇなぁ、話。もうだいぶしゃべてはるで。時計見てみると、あれ?5分しか経ってへんの?なんて経験が。

でも、普段友達や家族と話しているときは、時間の経つのはとても早く感じるもの。

この大きな違いは、やり取りをしているか否かから生まれるものだと思います。

友達とのおしゃべりだと、相手もしゃべってこちらもしゃべる。聞くだけでなく言うって事もしているので、飽きることなく何時間もしゃべってられるんでしょう。

「きく」って活動ばかりだと飽きてしまうものの、それに対して、適切なタイミングで他の活動が加われば、集中力はもったりするもの。

「きく」以外の「やる」という活動を加え、きくばっかりになってしまわないように気をつける。

「きく」の間にきく以外の活動、例えば、聞き手が何かしらに取り組む「やる」活動を盛り込むことで、集中力を持続させる。

受動的な「きく」と、能動的な活動である「やる」。それをスイッチすることで、飽きさせないようにする。

もちろん「やる」活動を無理に取り入れる必要はなく、問いを発し、考える時間を作るであったり、他の人と話し合うなどの活動的な時間をとったり、話したことを実際にやってもらったりってなことでもいいと思います。

とにかく、話し手が話してばっかりにならないように気を配り、聞き手が何かしらに取り組める活動を盛り込む。そしてまた、話にもどる、というように展開させていくことで、儚い聞き手の集中力をなんとかつなぎとめておく。

ミルフィーユの下準備

そのためには、準備が必要です。どこかに「やる」を盛り込むことができないものかに注意を払いながら、全体の流れを考えておくっていう準備が。

例えば、実際の授業の現場では、こちらが話す時間と、生徒が黒板の内容を書き写したり、問題に取り組む時間が必ずあります。

ミルフィーユを実践するというのは、伝えたい内容はぎゅっと厳選し、言葉を選びながら話し、聞いてもらう「きく」の時間と、実際に活動する「やる」の時間を明確に分けつつ話をしていく、ということです。

こちらが話す時間は、みんなが「きく」時間、問題に取り組む時間は「やる」時間。

こちらが話してばかり、相手にとっては「きく」時間ばかりにならないように配慮し、あいだ間に「やる」時間を設けながら授業を組み立てる。

問題を解かせたり書き写したりせずとも、みんなで声を揃えて何かを読み上げる、ってな行動も、「やる」活動。

「きく」と「やる」のスイッチを可能にするためには、全体の流れを一度把握することが何よりも大切です。

流れを把握してみると、あまりにもしゃべってばっかりの時間があったり、課題に取り組んでばっかりの時間があったりする。

なので、「この部分、15分以上しゃべってばっかりやん」と感じる時間帯があるのであれば、何かしらの課題や参加型の活動を用意することで、「やる」活動を意図的に含めておく。

そうすることで、少しでも聞き手の集中力を引き出し、持続させることができますように、と願いながら。

おわりに

話すことによって何かを伝えたいのであれば、まずは話を聞いてもらわないことには、伝えたいことは伝わるわけがないわけで。

聞いてもらうことに注力するのは、そういう思いがあるからに他なりません。

そして、聞き手に、聞くことに集中してもらうために、聞く以外の活動を大切にする、ということです。

この「きく」と「やる」のミルフィーユが、ぼくの授業の主な流れになっています。毎回意識しています。

聞き手には、話に集中して欲しいですもんね。

では、お読みいただきありがとうございました。

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