人前で話すときのヒント5 「ちょろっともったいぶる」

話を聞き続けるのには、集中力が必要です。

とてもデリケートな人間の集中力は、そう長くは続きません。

よって、話を聞き続けられる時間というのは、そう長くは続きません。

基本的に「ただしゃべるだけでは、話を聞いてはくれない」と思っておいたほうがいいかもしれません。

話す者は、あれやこれやの手を使いつつ、聞き手の集中力が損なわれないように努めなくちゃいけない、聞く人たちの集中力を引き出さないといけない、ということになります。

そこで、「ちょろっともったいぶる」。

ここぞ!というときに

もったいぶる、と言っても、話している最中に何度も何度ももったいぶっていては、聞く人たちをイライラさせかねないであろうことは容易に想像できます。

TVを見ていると、「CMのあとすぐ!」なんて風に、しょっちゅうもったいぶってきます。

ときには、「真相は来週明らかに!」的なもったいぶりかたもあったりしますが、見ているこっちはちょっと興ざめしてしまいます。

TVのもったいぶり方は、参考にすべきではない悪い見本と言えそうです。

おおげさにもったいぶったり、引き伸ばしすぎたりすると、おそらく聞き手の心は離れていってしまうでしょう。

頻繁にもったいぶるのではなく、もったいぶるのは基本的に「ちょろっとだけ」がいい。それも、話の中でも特に伝えたいことに照準を絞るのが効果的です。

伝えたいことは、ちょろっとだけもったいぶって話す。

「もったいぶる」を、話の途中で、決して頻繁すぎない必要最低限の回数入れることで、はかない集中力をつなぎとめる役割をしてくれます。

具体的なもったいぶり

もったいぶり方としては、いろいろある中でも

  • 一呼吸おいてから言う(間を利用する)
  • クイズ形式にする

あたりがすぐに考えつきます。

■ 一呼吸おく

ずーっと同じテンポで、同じ口調で、同じスピードで展開される話は、まず間違いなく飽きます。眠たくなっちゃう。

なので、話す際にはテンポや口調、話すスピードに気を配ったほうがいいのですが、一つのテンポの変化のつけ方として、「一呼吸おく」ってのは有効です。

「実は、、、」みたいに、もったいぶるわけですね。

伝えたいことを言う前に、2,3秒無言でフリーズしてみる。

すると、「ん?どした?」という気持ちから、それまでよりも若干話し手に注意がいきます。

それまでと違ったテンポで話されているから。

これは、何度も何度も有効な手ではありません。1回、もしくは2回が限度でしょうか。

それ以上使うと、「またためて言うてはるわ」と逆に興味がなくなってしまいます。

■ クイズ形式

選択肢をいつくかつくり、どれだと思うか聞いてみたり、穴埋め問題をつくり、そこに入る言葉を考えてもらったり。

クイズを投げかけ、考えてもらったあとに、伝えたいことを、クイズの答えとして発表する。

「問い」を投げかけると、たいていは聞き手は頭の中で問いの答えを考えてくれます。

それを利用して、少し間をとり、もったいぶる。

「伝えたいこと」が何かの順番などであれば、それをクイズ形式にして選択肢をみせ、「とれが一番目やと思う?」ときくと、けっこう熱心に考えてくれたりします。

「伝えたいこと」がどういう形をしているのかによって、クイズ形式にぴったり合うときもあるので、もったいぶり方の一つとして心得ておくことをお勧めします。

もったいぶるために

効果的にもったいぶるためには、準備が欠かせないことが想像つくと思います。

やたらめったらではなく、ちょろっとだけもったいぶるためには、何を伝えたいのかを明らかにしておく。

その、伝えたい重要なことをより効果的に印象付けるために、もったいぶる。

なので、話のキーとなる部分は必ず明らかにしておく必要があります。

内容を定め、伝えたいことを中心に流れを考えて、ここぞというところを定めておく。

そうすることで、おのずから力を込めたいところ、もったいぶりたいところは見えてくるものだと思います。

おわりに

この連載でたひたび書いているのが、聞き手の集中力はとてもはかない、ということ。

これは、話し手と聞き手という立場の違いから、ついつい忘れてしまいがちな事実でもあります。

思い出してください。きっと、自分が学生のときには、集中力が全然続かず、ろくに先生の話を聞いてなかった、ってなことがあったはず。

どうしてもやる気になれず、授業をほっぽり出して寝ちゃう、友だちとしゃべっちゃう、なんてこともあったはず。

話すがわになり、人前で話すことになったとしても、必ずそのときまでに自分が聞き手だったことがあるはずです。

その、自分が聞き手であったときのことを思い返せば、聞き手の集中力がはかないということがありありとイメージできると思いますし、聞き手のことを考え、話の内容を、構成を、展開を考えることができます。

話し手にまわるとついつい忘れがちな聞き手の心情。

決して忘れず、自分が話すときのヒントとしていきたいものです。

では、お読みいただきありがとうございました。

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