知ってるようで知らない健康保険のこと(僕たちと真面目にお金の話をしよう)

こんにちはー! ブログ「今、夢に生きる」のはぎたかし(@takashi_h7)です。

アシタノレシピでは「等身大のお金のレシピ」をお送りしています。

まず、連載の初回では、お金のことになると不安を感じさせるような話題が多いので、まず「ないもの」より「今持っているものを確認する」ことから始めましょう、とお話しました。

参考:お金の不安を感じたら、まず「持っているもの」を確認しよう

さらには、前回、持っているものを確認するスタートに「預貯金をはじめとした財産一覧(資産リスト)」を作ってみてはどうでしょう、と提案しました。

参考:家計簿より先に資産リスト作りをおすすめする理由

今回は、その続きにあたります。

「持っているものを確認する」には、公的保障を抜きには語れません。

まずは(公的な)健康保険から始めましょう。

身近でありながら、実はとっても手厚い健康保険。

これを知っているだけで、お金の不安を煽るフレーズをいくつか一刀両断できるようになるくらいです。

公的健康保険について

網羅性と分かりやすさの間で

まず、健康保険にかぎらず公的な保障については、どこまで書くのかけっこう悩むのが正直なところです。

制度を網羅しようとするほど分かりにくくなる。

分かりやすくしようとするほど、情報を削ぎ落とさないといけなくなる。

どうしようかと思いましたが、結論は「ポイントを簡単に書く」ことにしました。

情報のフックになるように

アシタノレシピの読者の方なら、必要な情報を検索するのはお手のものでしょう。

公的保障は、オフィシャルのページのページを見ればいくらでも詳しい情報が出てきます。

例えば、今回のテーマの健康保険であれば、

参考:全国健康保険協会(中小企業にお勤めの方)

参考:国民健康保険中央会(自営業の方)

※大企業にお勤めの場合には、それぞれの健康保険組合が独自のウェブページを持っていると思います。

なので、私の記事では「制度を細かく解説する」よりも、「へー。そんな制度があるんだ」と大まかに概要を知ってもらおう、と。

情報が何でも検索で取り出せるようになった今、一番差がつくのは「検索しようと思うかどうか」。

検索しようと思うかどうかは「そういう公的保障が日本にあると知っているかどうか」だけだと思いますので。

それでは、本論に入りましょう。

ここだけは知っておきたい健康保険3つのポイント

健康保険には様々な給付がありますが、その中でここだけは知っておきたい!というポイントを3つピックアップします。

治療費が3割負担に

健康保険を使って、治療を受けた場合には、窓口で請求されるのは3割だけ。

ここまでは皆さんご存知ですよね。

なので逆に、健康保険がきかないもの(3割ではなく全額負担になるもの)の代表を少し知っておきましょう。

  • 差額ベッド代(個室代)
  • 先進医療

●差額ベッド代(個室代)

入院したときの差額ベッド代(個室代)は、健康保険が効きません。

個室代は病院によってまちまちですが、一日5千円から10千円くらいが多いです。

これは「一日」なので、一泊二日の入院なら✕2になってしまいます。

なので入院して個室に入ったら、治療費より個室代のが高かったなんてのがよくある話。

「個室代は、患者の同意書を得なければ請求できない」のがルールなので、個室の話が出たらしっかりと説明を受けましょう。

●先進医療

先進医療も健康保険が効かず、全額自己負担です。

…ちょっと本筋から外れますが、(民間の)医療保険を販売する人にとっては、これが「公的保障の欠けている部分」のように言われて、セールストークになっていたりします。

「先進医療は全額自己負担なんですよ。がん治療で最先端の重粒子線治療とかだと最大で300万円近くかかることもあります」なんて。

「やっぱり治療の選択肢は広げておきたいですよね。先進医療特約も付けておきましょう」ってな感じで話が展開していくんですが、実は民間の先進医療保障は、月あたり缶コーヒー一本分くらいの値段しかしません。

保険料が安いということは、それだけ保険会社が払っている保険金が少ないということ。

確かに、治療の選択肢が広がるのは間違いありませんが、先進医療は使えるケース(対象になる病気、行える施設)がかなり限られていて万能ではない、というのは知っておきたいところです。

医療費にリミッターをかける「高額療養費」

次にぜひとも知っておきたいのは「高額療養費」

医療費の負担が重たくなりすぎるのを防ぐ仕組みです。

月あたりの医療費が一定以上になるとリミッターがかかります。

極端な話、月の収入が50万円くらいまでであれば一ヶ月で医療費が100万円かかっても高額療養費のおかげで負担額は9万円弱。

月の収入が27万円に満たないなら、6万円弱です。

(本当は「月の収入が」という書き方は正確ではないんですが、目安として)

この高額療養費の制度があるので、民間の医療保険不要論を唱えるFPも多くいます。

この制度の注意点は、以下。

  • 月単位は「一ヶ月間」じゃない。暦上の月でカウント
  • 差額ベッド代(個室代)や先進医療は対象外

●月単位は「一ヶ月間」ではなく、暦上の月

同じく10日の入院をするにしても、5/25~6/3の入院をする場合と、5/15~5/24の入院をするのでは適用のされ方が変わります。

月をまたいでしまうと、「5月入院の7日間でかかった費用」と「6月の3日間でかかった費用」に分けて、それぞれが上限を越えていないか判定されます。

入院のタイミングをコントロールできるケースは少ないかもしれませんが、もし急がない入院であれば月をまたがないように考えたほうが高額療養費の制度は使いやすくなります。

●差額ベッド代(個室代)や先進医療は対象外

また、もともとが健康保険の一部なので、そもそも健康保険が効かないものには適用されません。

先ほど書いた、差額ベッド代(個室代)や先進医療は対象外は対象外になります。

もう少し詳しくは、こちらを。

参考:高額な医療費を支払ったときは高額療養費で払い戻しが受けられます

働けない期間の収入を確保する「傷病手当金」

傷病手当金は、病気やケガで働けない期間の収入を保障してくれる仕組み。

これがサラリーマンにはあって、自営業の方にはないんです(自営業の方が加入する「国民健康保険」に傷病手当金がない)

個人的には、自営業にこそ必要な保障だと思うんですが。

病気の治療等で働けない期間が出た場合、4日目から収入の2/3を目安に一年半まで支給されます。

(収入の2/3という書き方は正確ではないんですが、目安として。正確には「標準報酬日額」と呼ばれるものの2/3)

なので、時々耳にする保険の売り文句「働けなくなったら収入がなくなって困りますよね」は、サラリーマンの人にとっては誇張。

受給開始から一年半は無収入になりません。

参考:病気やケガで会社を休んだときは傷病手当金が受けられます

一方、自営業の人にとっては何も保障がないので、きちんと考えておきたいポイントです。

考えられる対策としては、自分が働けなくても仕事が回る仕組みを作ったり、無収入期間が出ても耐えられるくらいの資産を用意しておく等。

ちなみに、フリーランスの方が資金を積むための有力な方法として「中小企業倒産防止共済」があります。

掛け金を全額経費として落とせて月5,000円からOK。

12ヶ月以上続けていれば解約したときに掛け金の80%が戻り、40ヶ月以上なら100%戻ってくるという、かなり心強い仕組みです。

あるいは、まとまった資金が用意できるまでの間、民間の保険で「つなぎ」を検討するのもありですね。

所得補償保険というやつです(似たような名前で、収入保障保険という全く別物の保険があるのでご注意を)

まとめ

まとめましょう。

  • 医療費は3割負担
  • しかも高額になりそうなら「高額療養費」で上限がかかる
  • 病気で働けない期間が長引いても「傷病手当金」で一年半は収入もある
  • というわけで、健康保険はけっこう手厚い
  • ただし、自営業の人には、収入を確保する「傷病手当金」がないので、要対策

以上、公的な健康保険について3つだけポイントを拾ってまとめてみました。

書けば書くほど、しみじみ「手厚いよなぁ」と思います。

細かい話はともかくとして、大枠だけでも知っておいてもらえばお金の不安を解消する助けになってくれるはずです。

それでは、また2週間後にお会いしましょう!

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