「習慣化」のための自己サポート集 13、自分のコントロールに役立つキーワード「意志力」と「象と象使い」

どうも、「iPhoneと本と数学となんやかんやと」のchoiyakiです。
自分というのは、一番コントロールしやすいようで、実は思うようにはコントロールできない存在です。「続けるぞ!」と思ってもその決意は揺らぎますし、やろうと思っていたことを結局実行できないことも多い。疲れてなにもしなくなるときもあれば、しなくていいのにと思っている別のことについ手をつけてしまうこともしばしば。
自分をコントロールできないなんて、なんて自分はダメなやつなんだ、とも思いたくもなります。いやいや、きっとそう思ってしまうのは、自分がどんな存在なのか把握しきれていないから。自分のことは自分が一番わかってる、と思いがちですが、案外そうでもない。
できないのは、「自分にはやる力がない」のではなく、「自分にあったうまくいくやり方をまだ知らない」だけです。絶対そう。だから、失敗したとしてもまた試してみて、うまくいくやり方をさがせばいい。
「「習慣化」のための自己サポート集」では、ぼくにとっての「うまくいくやり方」をできるだけ一般化して書いてきましたが、今回はそもそも自分ってどんな存在なのか?について、書きたいと思います。「うまくいくやり方」を考えるヒントになるはずなので。

意志力

自分の行動をコントロールするためのエネルギーとなるものが、意志力です。意志力は、何かをするときに多かれ少なかれ消費されていき、意志力が枯渇すると行動をコントロールするのは難しくなります。
基本的に、脳は省エネ志向らしく、意志力を多く消費することを敬遠しがちです。つまり、「大変そうやな」と感じるような、意志力の消費が激しいことは、実行されずに終わりがちになる、ということ。
あたらしく習慣化したいと考えている行動が、意志力の消費が激しいものであれば、継続することは困難になります。意志力を使いたがらない脳に抗う行動を続けるのは大変ですし、ちょっと無理があります。
というわけで、習慣化したいのであれば、意志力の消費を最小に抑える必要がある、ということになります。「よし!やるぞ!」という気持ちを起こさずとも、スッと行動に移っていけるような、やることが当然・あたりまえ・普通であるような状態に持っていければ、ずーっと継続していくことが可能になる、というわけです。

象と象使い

行動することに対して人間というのはどういう存在なのか?をイメージしやすくしてくれる比喩として、「象と象使い」を挙げておきたいと思います。
象に望みの行動を起こさせるために、象使いは手綱を握り、象をコントロールしていきます。が、象の力は象使いの力をはるかにしのぐので、少し間違えばたちまちコントロールは難しくなってしまいます。
象をうまいことコントロールすることができたとき、自分の行動をコントロールできる、と考えてみると、思うように行動させるのはなかなか難しそうだな、と感じると思います。自分というのは、象のようにけっこうコントロールの利かない存在なわけです。
先ほど挙げた「意志力」は、象と象使いに照らし合わせた場合、「象使いの体力」と考えることができます。象使いの体力がまだ十分なときであれば、頑張って手綱を引くことで、ある程度は象をコントロールすることができます。が、がんばればがんばるほど体力は消耗し、疲れてくると象のコントロールは困難なものとなってくるでしょう。

「象と象使い」の比喩は、この連載でも何度か登場した「スイッチ!」という本にならっています。

この本では、『「変化」の三つの意外な事実』として、変化できない意外な要因を三つ挙げています。

  • 抵抗しているように見えても、実は戸惑っている場合が多い
  • 怠けているように見えても、実は疲れきっている場合が多い
  • 人間の問題に見えても、実は環境の問題であることが多い

習慣化は、変化を定着させる行為であるといえるので、ここで語られる『「変化」の三つの意外な事実』はなにかを習慣化したいときの参考になりますし、「意志力」とからめて読み解くことで、「象と象使い」にたいする理解が深まります。
ここからは『「変化」の三つの意外な事実』に対して、それぞれに解決策を提案していきたいと思います。

抵抗しているように見えても、実は戸惑っている場合が多い

戸惑いがあるままに行動しようとすると、必要以上に意志力が消費されているのは目に見えています。
象が進むべき道を理解していれば、象使いは手綱をいっしょうけんめい引く必要はなくなり、体力の消費も抑えられるからです。
戸惑い、その都度考えて行動しなければならないとなると、毎回象使いは象をコントロールしようと頑張らないといけなくなります。体力はどんどん減っていき、消耗した体力ではやがて象をコントロールできなくなります。
些細なことでも、何かを決めたりするときには象使いの体力は消費される。つまり、決断のたびに意志力を使っていってしまうということです。
基本的に、意志力を多く使うようなことは、省エネ大好きな脳は避けたがります。となると、実行できずに終わってしまったりする可能性もたかまってしまいます。
戸惑いをなくし、意志力をなるべく使わずに済むように「あらかじめ明確に指示しておく」ことが、実はとても大切であることがわかります。
たとえばランニングでは、走る時間帯や服装をあらかじめ決めておく。定めた時間に、定めた服に着替える。いちいち考えずに済むように、あらかじめ決めて用意している方がとりかかりやすく、意志力の消費も最小限に抑えることができることでしょう。

解決策:あらかじめ明確に指示しておく

怠けているように見えても、実は疲れきっている場合が多い

「寝る前に30分間、英語の勉強をする」という行動の習慣化を考えた、とします。この時点で、失敗しそうなにおいがプンプンします。寝る前というのは、象使いの体力がもっとも消費され、なくなっているとき。すなわち、意志力が一番枯渇しているときと言えます。
そのことを知っていれば、寝る前になにかの習慣化にとりくむことは避けたほうがいいかも、と感じるでしょうし、あるいは、意志力がなくなっていてもできるような、ものすごく簡単にとりくめることにしたほうがいいかな、と考えると思います。
意志力が減っているときに何かをするのは、難しいということ。一日がんばって過ごしたあとに、もう一度がんばるのは避けたほうが無難です。
また、「やる気を与える」という解決策もあるっちゃあります。実際「スイッチ!」では、やる気を与えることを解決策として提示しています。が、習慣化に絞って考えるのであれば、やる気にまかせて行動するのは得策とは言えません。
毎回毎回やる気を出すのはかんたんなことではないので、やる気でなかったらたちまち継続できない、なんてことになっちゃいます。習慣化においては、できるだけやる気にたよらないような環境・仕組みづくりを考えるべきだと思います。

解決策:意志力の枯渇しているときは避ける

人間の問題に見えても、実は環境の問題であることが多い

がまんしたり、決断したりするたびに、意志力は低下してしまいます。簡単に消費されてしまうので、環境をととのえ、できるだけがまんや「えいやっ!」という決断をしなくて済むようにしたほうがよさそうだ、ということがわかります。
些細な手間であれ、極力取り除き、習慣化したい行動をすぐにとれるように環境整備しておくほうが象はスムーズに進むことができ、象使いは不必要な体力を使わずに済みます。
毎日体重を計りたいのであれば、体重計はしまいこまずに出しっぱなしにしておく。朝起きてすぐ計りたいのであれば、朝起きてすぐ立ち寄るところの近くに体重計を設置しておく。計った体重を記録していきたいのであれば、ノートやカレンダーなどの記録する媒体を体重計のすぐそばにおいておく。

環境を変えるというのは、適切な行動を取りやすくし、不適切な行動を取りにくくするということだ。

習慣化したくてもできなかったとき、実はちょろっと環境を整えるだけで継続できるようになったりするかもしれません。もう一つ、「スイッチ!」から引用しておきたいと思います。

自分自身の行動を変えるときは、自分にセルフコントロールを課すよりも、環境を変えるほうがかならずうまくいく

意志の力に頼るのではなく、意志の力の必要ない環境をつくることに注力したほうがいい、ということです。

解決策:ささいな手間をなくし、意志力の必要ない環境をつくる

おわりに

「意志力」と「象と象使い」という二つのキーワードをもとに、人間はどういう傾向があるのかについて述べてみました。
もちろん人は千差万別なので、一概には「こうでまちがいない!」と言うことはできません。でも、こういう傾向があるってのを知っておくのは、自分が何かの習慣化にとりくむ際に、どうしていくかのヒントにはなってくれると考えています。
実際、「意志力」の存在を知ってからは、1日の計画の仕方がかなり変わりましたし、「象と象使い」の比喩を用いて自分という存在をとらえることで、それをふまえて、習慣化の際にはいろいろと工夫をほどこすようになりました。
「意志力」と「象と象使い」。これから習慣化にとりくもうと考えていることや、一度習慣化に失敗したことに再度チャレンジするときなどの参考になってくれることと思います。

では、お読みいただきありがとうございました。

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