「勉強が出来る」=「頭が良い」?スゴい人達に囲まれたときに考えたこと

ぱうぜセンセのコメントボックス
日曜の朝はアシタノメンバーでスカイプミーティング…おや、としさんのところ、今日は「アシタヲタノシクスルコント」でおなじみの、「一歳児」もいらっしゃるのね。

Illustration by ふじもなおのアトリエ

「ぱうぜさーん、今日はうちの一歳児が質問があるんだって」

えっ、一歳児は鋭いツッコミでおとうさんをたじたじにするからなあ、どきっとするなあ。

「はじめまちて、ぱうぜセンセ!きょうはセンセにどうしてもきいてみたいことがありましゅ」

「ぱうぜセンセの大学って、勉強モンスターばっかりだったんでしゅか?」

べ、勉強もんすたー???一歳児、どうしてそんな言葉を作り出したのかなあ・・・。


(前回のお話はこちら)「とっかえてみるとどうだろう?」と旅先で考えてみよう

受験勉強は大変だけど

「いやあね、一歳児がもう何でも出来るっていうから、『それじゃ、ぱうぜセンセの母校にも受かっちゃうかな?』とハッパをかけてみたらこの調子で」

ちょっと待ってとしさん、いくら一歳児に口げんかで負けるからって…いや、聡明なのはわかるんだけども。

「ぱうぜセンセの母校は一歳児でも知ってまちゅよ。頭が良くないと入れないんでしょ?勉強がりがりモンスターみたいな人がウヨウヨしてるんでしゅよね」

おっと、決めつけられるとちょっとイラッとするなあ。

「まあ、あたしは後期入試で受かった…つまり、前期入試は一度落ちてるからね。そりゃあ、中に入ってみて、頭のいい人が沢山いてヒイヒイ言ったよ」

「ついていくのたいへんでちゅね」

でもねえ、モンスターって言葉の裏にあるようなイメージとはちょっと違うかな。

「うん、そうだね。でも、受験勉強の話も聞いたけど、机にしがみついて勉強したっていう雰囲気の人はあまり居なかったように思う」

「ありゃ、一日14時間とか勉強してたとか、そういう感じじゃないのかい?」

「まあ、いないこともないとは思うけど、ちょっと違うなあ・・・」

やっぱ、そういうイメージなのか。ちょっと、質問の方向性を変えてみようか。

「勉強ができる」って何だろう

「もしかしてさ・・・一歳児もとしさんも、難関大学受験の問題が解けること=頭がいい人、って思ってる?」

「あれ、そうじゃないんでしゅか?」

「問題を解くためのルートも色々あるしね、暗記科目にみえても、ストーリーを考えて覚えると身についたりとかね・・・」

実際に会って話をしてみると、みっちり暗記した、っていうタイプだけじゃ無いことがよく分かった。というか、自分自身、暗記って苦手だし・・・。

「それでも、さすがにキーワードとか公式はわからないと書けないよねえ」

「それはそうだね。あと、受験勉強をどう組み立てたのかも、人それぞれだった」

手帳を使って自分の時間を書き出してみたりとか・・・

「あれ、それって実は時間管理とか、ライフハック??」

「まあ、受験勉強って長期プロジェクトだよね」

自分で、あるいは塾や予備校の管理でと差はあれど、何らかの意味でマネジメント能力がある人が多い印象だった。

「もちろん、天才肌の人も居て、一日当たりの勉強時間は少ないのに、ものすごく幅広い知識を持ってる人も居るし、趣味が深い人もいて」

このひといつ勉強してたんだろう、って思うくらい楽器が上手い人とかもいたし・・・。

「時間のやりくりがうまかったか、もともとの頭の良さ、なのかねえ」

「頭の良さ」にもいろいろ

「頭がいい、っていうのも難しい問題だね。大学受験に適応した人が、社会でも成功するとは限らないし」

「それって、空気が読めないってことでしゅか?」

「うーん、出来る人ほど『自分もできるから相手もできる』っていう勘違いにハマりやすいね」

大学の先生は出来ない学生の気持ちがわからんのですよ、と学生時代はよくボヤいてたなあ・・・。

「あと、他人にお願いするのが上手くて、自分でもほどほどに出来る人のほうが、結局単位揃えるのは早かったりとかね」

「それは社会人になってもよくあることだぞ、一歳児」

「とうたん、いきなりのどや顔・・・」

「いまのはコミュニケーション能力と成果への結びつきという観点でみたけど、じっくりタイプとひらめきタイプっていうのはやっぱあるね」

論理的な詰めに強い人も居れば、関連性を見つけていくのが上手い人もいるんだよ。

「そういえば、前に『大学での勉強って高校までとちょっと違うよ』ってぱうぜさん言ってたね」

「うん、研究者が教えるっていうのがミソなんだよ、って話だね」

「答えは一つじゃないんですか?」勉強と研究、そして専門教育とは
研究ってどこに向かうかわからないのが面白いところです

「これだと、今まであった出来事をはき出したり、外国語が読めるよってだけじゃだめなんでしゅね」

新しい発想や情報収集のために必要な基礎ではあるけれど、それだけではだめなんだよ。

「別に高校でもやってる人はやってる。『大学の教養課程より、むしろ高校の授業のほうが研究っぽいんだけど』とかいう人もいたね。そういう人もいるところがあの大学のおもしろいところかもしれない」

 自分の「頭の働かせ方」と「努力の仕方」を見つけられるか?

「うーん、『勉強ができる』ってことも、『頭が良い』ってことも、いろいろあるんでしゅね」

「だから、『勉強モンスター』ばっかり、ってことはないし、仮にモンスターに見える人でも、そういうことじゃないんだよ」

「へっ?」

「ゼッタイにかなわないなあ、って思ったのは、頭が良い上に努力家でもあって、しかも努力の方向を間違えていない人

「うーんと、よくわかんないなあ」

「もともと足が速いのに、フォームの改良にも余念が無くて、しかもそれが間違ってないっていうかんじかな」

「なにそれアスリート?」

「・・・まあ、ほんと、そういう雰囲気のひともいるんだよ。常人がとてもやれないレベルのことを、当たり前のこととしてやってる」

そんな人をモンスターと呼ぶことはできないね。まあ、畏敬の念を込めて『バケモノだー』と思わないことは無いけども。

「やっぱりしゅごいひとはしゅごいんですね」

「うん。でもね、それも『いろんなタイプ』のひとり、なんだ。他にすごいなーって人はいっぱいいた。なかなか言葉に出来ないけどね」

「・・・ぱうぜさん、そんなところにいて平気だったの?」

「・・・まあ、最初はものすごく劣等感があったよ。とくに、後期入試入学だったから、『あたしは数学がぜんぜんできないのにココニイマス・・・』ってほんとに思ったからね(当時の後期試験には数学が要求されていなかった)。でもね、いろんな人がいるってことがわかって、ふっきれたんだ」

「どういうことでちゅか?」

「頭の良さにも、物事の進め方にもいろんなものがあるんなら、『自分や自分の属しているチームに向いているもの、必要なことは何かな』って考えていくしかない、ってね」

スゴいなーってひとと同じ道を歩んでも良いけど、劣等感を持つくらいなら、自分で道を見つけるしかないんだ。

私自身がみつけたもの

「ぱうぜセンセは何を見つけたんでしゅか?」

「信用できる友人といっしょに授業ノートをまとめたりすると、ものすごく理解が深まることがわかったり」

このノートは今も研究室で使ってるんだよ。誰かのために詰めて考えたり、誰かが書いたものに建設的にコメントするっていうのが向いているみたい。

「あとは、アイデアをつなげたりする会話がものすごく好きだってこととか」

「あ、ぱうぜさんがアシタノでやってることに近いね」

「うん、好きなこと、得意なことだから、趣味と実益を兼ねていろいろやっているんだよ、今でもね」

研究面でも、いろいろグループを作ったりしているのは、そういう環境に身をおきつづけたいって考えたからなんだよね。

「大学から先だとクラスとかもなくなるから、友達も自分で見つけていくしかないもんね」

「く、クラスってなんでちゅか?」

あ、一歳児だった…保育園も幼稚園もまだだもんなあ。

「まあ背伸びしすぎないで、すくすく大きくなってね」

「ぱうぜセンセがびっくりするくらいおおきくなるでしっ!めざせにめーとる!」

「一歳児、それは意味がちょっと違うよ・・・ぱうぜさん、ありがとー」

こちらこそ、朝から親子漫才が生で見れて楽しかったです。ひやひやしたけどね。

◇ぱうぜセンセのメモ◇

まさかの一歳児来襲・・・びっくりしたなあもう。あの子が大学受験をするころには、日本はどうなってるのかな。

編集後記

今回は匿名質問サイト「ask.fm」での質問を元に構成しました。
ぱうぜ先生にとって東大法学部とはざっくりどんなところ? やっぱり頭の良すぎる勉強モンスターはたくさんいるの? | ask.fm/kfpause
「頭の良すぎる勉強モンスター」ってなんだろう、って考えました

質問者は学生だろうと思ったんですが、いつものキャラクターはどうも「勉強モンスター」という言い方をしそうにないので、「アシタヲタノシクスルコント」からとしさん&一歳児親子に登場していただきました。事前チェックをしていただいていないので、あくまでぱうぜのイメージです。コラボレーションを快諾してくださったとしさんに、そして着想のきっかけをくれた匿名の質問者に感謝します。

ぜひ皆さん、「バーチャルコメントボックス」に質問をお寄せください。Twitterで @kfpause宛てにツイートしていただいても結構ですし、 #ashitano をつけて投稿していただければ適宜拾いますので、どしどしお寄せください。

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