夏休みの宿題を通じて、「計画の立て方と遂行のコツ」を、子どもに体感してもらう。

はじめに

こんにちは。彩郎です。

今回は、アシタノレシピ月イチテーマ企画に乗っかってみます。今月の月イチテーマは、「8月と言えば夏休み、夏休みと言えば宿題」ということで、「計画の立て方と遂行のコツ」です。そのままずばり、「夏休みの宿題を片付けるための計画の立て方と遂行のコツ」を考えてみます。

とはいえ、私自身が夏休みの宿題をすることは、今後はもうありません。たぶん。

そこで、自分の子どもに対するアドバイス、という切り口で考えてみます。うちの子はまだ小さく、夏休みの宿題を持って帰ってくる年齢ではないのですが、もしも何年後かの8月10日頃、小中学生になった子どもから、夏休みの宿題を片付けるためのアドバイスを求められたら、こんなことを伝えたいと思います。

8月10日から夏休みの宿題を片付けるためのアドバイス

【ステップ1】まずは、今の状況を把握しよう。

8月10日というと、夏休みも折り返し地点。これからお盆の帰省や旅行の計画があって、けっこう忙しい。なのに、夏休みの宿題の多くが手つかずで残されていて、ひょっとすると、どんな宿題があるかもよくわからない状況かもしれない。

もしそうなら、まずは、今の状況を正確に把握しよう。

把握すべきポイントは3つ。

  • どれだけの宿題があるのか?
  • どれだけの時間を使えるのか?
  • どれだけのペースで進むことができるのか?

(1) どれだけの宿題があるのか?

夏休みの宿題は、全部でどれだけあるのか。これを把握できてないと、暗中模索になってしまう。いつ終わるかもわからず、何かやり残しがあるんじゃないかと不安になる。だから、何はともあれ最優先は、宿題の全体を把握すること。

先生が、宿題全部の一覧を配ってくれたならわかりやすい(小学校だとこのパターンもあるのかも)。でも、教科ごとにばらばらで宿題が出されてるなら(中学校だと、多分こっち)、全体がどれだけかがわからない。この場合は、自分の手を動かして、宿題の全体を把握するしかない。

やりかたは何でもいい。たとえば、学校で配布された夏休みの宿題に関係する物全部を、床にばーっと広げて並べる、とかはどうだろう。配布されたプリント、宿題となってるドリル、図画工作の画用紙、読書感想文の原稿用紙などなど、夏休みの宿題に関係する物を全部並べれば、夏休みの宿題が全部でどれだけあるかがよくわかる。

一般に、何かをするときに、自分がやるべきこと全体を把握するのは大切なこと。でも、学校の夏休みの宿題を片付けるためには、とりわけ大切だと言える。なぜなら、夏休みの宿題は、決して増えないから。一度全体を把握してしまえば、あとはそれを片付けるだけ。やればやるほど減っていく。だからこそ、最初に宿題の全体を把握することは、宿題を遂行することを、すごく強力に助けてくれる。

(2) どれだけの時間を使えるのか?

次は、自分の手持ち時間。宿題を実行するには時間がかかる。でも、自分の手持ち時間は限られている。だから、宿題のためにどれだけの時間を使えるのか、自分の手持ち時間を把握する必要がある。

一番簡単なのは、手持ち時間を書きだしてみること。夏休みの宿題のように、数週間の期間なら、日付を書き出せばいい。

たとえば、今日が8月10日だとして、8月31日までに終わらせなければいけないとすると、こんな感じ。

  • 8月10日
  • 8月11日
  • 8月12日
  • 8月13日
  • 8月14日
  • 8月15日
  • 8月16日
  • 8月17日
  • 8月18日
  • 8月19日
  • 8月20日
  • 8月21日
  • 8月22日
  • 8月23日
  • 8月24日
  • 8月25日
  • 8月26日
  • 8月27日
  • 8月28日
  • 8月29日
  • 8月30日
  • 8月31日

手持ち時間は全部で22日間。

そのうち、何日かは、動かせない予定が入ってるはず。たとえば、

  • 8月10日
  • 8月11日
  • 8月12日 ディズニーオンアイス
  • 8月13日 鶴舞公園
  • 8月14日
  • 8月15日 おばあちゃんの家
  • 8月16日 おばあちゃんの家
  • 8月17日
  • 8月18日
  • 8月19日
  • 8月20日
  • 8月21日
  • 8月22日
  • 8月23日
  • 8月24日 ナガシマスパーランド
  • 8月25日
  • 8月26日 長崎旅行
  • 8月27日 長崎旅行
  • 8月28日 長崎旅行
  • 8月29日
  • 8月30日
  • 8月31日

8日間は予定があると、丸一日空いてるのは、22日間から8日間を引いて、14日間になる。現段階での手持ち時間を、日単位ですぐに把握できる。

また、丸一日空いているとしても、7時間も8時間も宿題をするのは、多分難しい。たとえば、午前中に1時間半、夕食前に1時間半、寝る前に1時間の合計4時間できれば、立派なもんだと思う。

あるいは逆に、丸一日空いてない日でも、朝とか夕方とかに、1,2時間くらい確保できるかもしれない。

これはあくまでも一例だけれど、自分の手持ち時間を把握してみよう。

(3) どれだけのペースで進むことができるのか?

これで、宿題の全体がどれだけあって、その全体を片付けるためにどれだけの手持ち時間が与えられているかがわかった。これで十分か?

まだ足りない。この2つは、進むべき距離と制限時間のようなもの。制限時間内に距離を移動しきれるかを判断するには、速度を確認する必要がある。

つまり、自分が宿題を片付ける速度。自分は、どれだけのペースで進むことができるのか、ということだ。

とはいえ、これを把握するのは難しい。

そこで、発想を少し変える。とりあえず一部分を実際にやってみて、その実績から推測する。

たとえば、問題集なら、1ページくらいやってみる。日記なら、1日分書いてみる。読書感想文なら、課題図書の最初の方を読んでみる。一部分だけでもやってみれば、自分がどれくらいのペースで進めるのかが、少しはわかる。

こうして、不完全ながら、速度がわかれば、距離、時間、速度が出そろうので、宿題を片付けるための道筋の見通しがつく。

【ステップ2】宿題を片付けるために必要な物を、準備しよう。

距離、時間、場所という今の状況を把握したら、次は実行なんだけれど、その前にひとつ大事なことがある。それは、この現実世界で何かを実行するには、具体的な物が必要なことが多い、ということ。

必要な物全部が手元にあればすぐに簡単に終わることも、必要な物のうちひとつでも足りないと、すごく苦労する。たとえば電化製品の電池交換のためにネジを外さなくちゃいけないとして、ぴったりサイズのドライバーが手元にあれば一瞬だけど、ドライバーがないとどうにもならない。近くのホームセンターでぴったりサイズのドライバーを入手するところから始めなければならなくなる。

夏休みの宿題もこれと同じ。絵を描くには画用紙と絵の具セットが必要だし、読書感想文を書くには原稿用紙を用意しなくちゃいけないし、課題図書を読むには手元に課題図書の本がなくちゃいけない。問題集の中には、コンパスや分度器がないと解けない問題があるかもしれない。

夏休みの宿題なら、多くの必要な物は、学校で配布されると思う。絵を描くための画用紙、書道のための半紙、読書感想文の原稿用紙。でも、配布されたものがどこにあるのかわからなくなることもある。1学期最後に配布された画用紙、今どこにあるか、すぐにわかる?

また、道具の多くは自分で準備しなくちゃいけない。絵の具セットとか書道セットとか。これらの道具が使えるように最低限のメンテナンスをしておくことも必要だ。

いざ宿題をやる気になったときに、必要な物が手元にないと、やる気が消えてしまうかもしれない。たとえば、8月25日の朝に、「今日1日で絵を全部描いちゃちゃおう!」という気になっても、画用紙を探してもどこにあるかわかんないし、絵の具セットを引っ張り出してみたらパレットに絵の具がこびりついていて、という状況だと、きっとそのやる気は消えてしまう。せっかく、難物の絵に取り組むやる気が出てきたというのに、もったいない。

宿題を片付けるために、やる気をうまく活かすのは、とても重要なこと。少なくとも、せっかく出てきたやる気を消す原因は、できるかぎり消しておくとよい。だから、このためにも、宿題を片付けるために必要な物は、早めに全部準備しておく。

必要な物を揃えておけば、自分のやる気が無駄になることが減る。必要な物が全部揃っていることを確認することで、ちょっと安心できて、やる気が出てくる、ということもあるかもしれない。

必要な物全部を手元に整えておくことは、一見、とても即物的で些末なことに思えるけど、宿題を完遂するための条件を整えることなのだから、実は、けっこう重要なこと。宿題を片付けるために必要な物を、手元に準備しよう。

【ステップ3】あとは実行あるのみ。ただし、進行状況を目で見えるように。

現状を確認し、必要な物を準備したら、あとは実行あるのみ。

夏休みの宿題の成果物は、絵を描いた画用紙とか、読書感想文を書いた原稿用紙とか、最後まで解いた問題集とかであって、やること一覧表とかではない。計画や準備は、実行のための手段だから、実行を促す限りで価値があるし、逆に、宿題を完遂できるのなら、計画や準備がすごくいい加減でも、全然問題ない。

ただ、実行をうまく進めるためにも、コツはある。うまく機能するひとつのコツは、進行状況を目で見えるようにしておく、ということ。具体的な方法は、いくつかある。

たとえば、

  • 2つの収納ボックスを使って、宿題の進行状況を物として管理する
  • バーチカル表示のカレンダーに、時間の使い方を記録する

などは、わりと簡単に実行できるんじゃないかな。

(1) 2つの収納ボックスを使って、宿題の進行状況を物として管理する

ひとつめは、実行すべき対象である宿題を管理するための方法。

紙やスマートフォンでタスクリストを作るのも悪くないんだけれど、もっと物理的に管理することもできる。

まず、ホームセンターなどで売ってる収納ボックスを2つ用意する。A4サイズが入る大きさの、深いやつ。

この収納ボックスに、宿題に関係する物を、全部入れる。問題集も、書道の半紙も、読書感想文の課題図書も、全部入れる。絵の具セットとかコンパスとか、宿題を実行するために必要な道具も入れておく。

2つの収納ボックスの使い分けは、以下のとおり。

ひとつの収納ボックスには、これからやる宿題に関連するすべての物を入れる。いわば、未来の収納ボックス。

もうひとつの収納ボックスには、もう終わった宿題に関係する物で、今後使うことがない物を入れる。いわば、過去の収納ボックス。

未来の収納ボックスに入っているものは、これからやるべき宿題に関するものだから、未来の収納ボックスが、そのままタスク管理のためのリマインダとして機能する。

過去の収納ボックスに入っているものは、すでに終わった宿題だから、過去の収納ボックスは、成果物を格納し、ログを記録する役割を果たしている。

未来の収納ボックスと過去の収納ボックスの間にあるのは、もちろん現在なんだけれど、これは、実際に宿題をやる場所のこと。机だったりリビングのテーブルだったり子ども部屋の床だったりする。

未来の収納ボックスがリマインダになっているので、その中からこれからやる宿題を選ぶ。その宿題を実行するために必要な物は全部、未来の収納ボックスの中にあるから、必要な物を取り出して、現在の作業場所で宿題を実行する。その宿題を最後まで仕上げることができたら、過去の収納ボックスに入れる。もう使わない道具も、過去の収納ボックスに入れる。未来の収納ボックスに入れた物が、現在の作業場所を経由して、過去の収納ボックスに入る、という流れ。

当初、未来の収納ボックスに放り込んだ、宿題に関連するすべての物が、この流れを経て過去の収納ボックスに落ち着いたとき、宿題の全部がきれいに終わる。宿題の進行状況を、目に見える物として、管理できる。

(2) バーチカル表示のカレンダーに、時間の使い方を記録する

ふたつめは、宿題を実行するために必要不可欠な時間の使い方を記録するための方法。

ここでも大切なのは、進行状況を目で見る、つまり、時間を目で見る、ということ。

1日が終わるごとに、マンスリーのカレンダーの日付をばつ印で消していく、という方法もある。これも、残りの手持ち時間を目で見るためのシンプルな方法だけど、せっかくなら、もう少し詳しく見えるようにするとよいと思う。

使うのは、1日に時間軸の入った週間カレンダー。バーチカル表示ともいう。手帳でもいいけど、2週間分をA4サイズに印刷すれば、A3サイズで4週間分表示できるので、おすすめ。

ここに書くのは、

  • 未来の手持ち時間
  • 過去の実績

の2つ。

未来の手持ち時間は、宿題に使えない時間を塗りつぶしておく。たとえば、8月24日にナガシマスパーランドに行き、8月26日〜28日に長崎旅行に行く予定があるなら、それらの日は宿題に使えないから、塗りつぶしておく。色を決めるといいかもしれない。たとえば、緑色とか。

過去の実績は、いつ、何をしたかを、書き込んでおく。宿題に使わなかった時間は塗りつぶしておく。未来と同じ色に統一すると、わかりやすい。

そうすると、まず、未来の手持ち時間がわかる。たとえば8月24日になったとき、「8月31日までにはあと1週間あるけど、24日と26日〜28日は緑色で宿題には使えないから、実質あと4日か!」みたないことが、一目瞭然となる。

それから、これまでの進行速度もわかる。まるまる4日間使えた8月17日〜20日に自分がどんな1日を過ごし、宿題はどの程度捗ったのかがわかるから、4日間あれば無理しなくてもこの程度はできる、みたいな予想が立つ。過去の実績を目で見ることで、未来の見通しを得られるような感じ。

こうして、バーチカル表示のカレンダーを使えば、未来と過去の時間を目で見ることができるようになる。

おわりに

今回は、連載からは大きく離れて、夏休みの宿題を題材に、「計画の立て方と遂行のコツ」を考えてみました。

ポイントをまとめると、以下のとおりです。

  • 【ステップ1】今の状況を把握する
    • 遂行すべき対象となる宿題の全体を把握する
      • クローズドリストであることの意義
    • 自分の手持ち時間を把握する
      • それほど遠くない締め切りがあるなら、日単位ですべて書き出してしまう
    • タスク実行時間の見積もりは、とりあえず実行してみてから
      • なにもないところからの予想スキルを高めるよりも、
      • とりあえず実行してみて、その結果から考える
  • 【ステップ2】宿題を片付けるために必要な物を、準備する
    • タスクを実行するためには、必要な物を準備しなくちゃいけない
      • たったひとつの物がないだけで、すべてが止まることもある
    • やる気を消す原因を潰す
      • タスク完遂に至るまでの流れをスムーズに
      • タスク実行のための条件を整える(マイナス条件を消す)
  • 【ステップ3】進行状況を目で見える環境を整えて、実行する
    • 未来・過去・現在を目で見えるようにすると、実行を助けてくれる
    • たとえば、
      • 未来の収納ボックス、現在の作業場、過去の収納ボックス
      • バーチカル表示のカレンダーで、未来の手持ち時間と過去の実績を目で見る

小中学生にとって、宿題を片付けることは、多分、それほど重要なことではありません。少なくとも、親がその実行に力を貸してまで完遂すべきことではない。

でも、「計画の立て方と遂行のコツ」は、子どもが人生を生きのびる上で、きっと大切な技術です。そして、夏休みの宿題は、小中学生が「計画の立て方と遂行のコツ」の力を体感するために、かなりよい機会のように思います。

だから、将来、もし子どもが夏休みの宿題を片付けるためのアドバイスを求めてきたら、私は、こんなふうに、「計画の立て方と遂行のコツ」を話したいなと考えています。

そんな妄想全開で、夏休みの月イチ企画に乗っかってみました。最後までお読みくださいまして、ありがとうございます。また2週間後にお会いできたらうれしいです。

(子どもが大きくなったら妄想つながりで、ひとつ紹介します。→もしも、子どもに、「生きる意味って何?」と尋ねられたら。

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