目標の考え方と立て方 ー 自己管理のベーシックレシピ

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自己管理の基礎を取り扱う「自己管理のベーシックレシピ」、久々に再開します。

前回は行動の記録を残そうということで、予定とやることを時間軸に落とし込んで計画を立てて行く方法について取り上げました。

今回は「目標の考え方と立て方」というテーマで、目標についての考え方と、行動を変えていくための目標の立て方について紹介したいと思います。

■目標の考え方

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■目的、目標の違いを押さえる

目的と目標、よく似た言葉です。

実はどちらちも、英語で言えば「Goal」だったりするので、更にややこしいですね。

目的というのは「成し遂げたいことがら」であり、目標は「目的を達成するために設定される具体的なライン」です。

例えば、「仕事を通して社会に貢献する」というのは目的で、具体的には自分の専門領域を鑑みて「社会インフラを支える仕事に就く」とかもっと具体的に「電力会社に入社する」とか「石油の安定供給の為に世界の産油国と交渉できるだけの知識と語学力を習得する」みたいなカタチで目標に落とし込んでいきます。

この例をもう少し掘り下げると、石油掘削の技術や精油の技術、石油先物などの金融の知識、地政学、シェールガスなどの時事ネタ、相手国の歴史や民族性など幅広い知識が必要になるでしょうし、交渉するとなれば心理学含めた交渉術の習得や、高度な語学力が必要になるでしょう。或いは交渉のバックアップを行う専門家になるという方法もあるでしょう。

しかし、いきなり最初から「交渉のスペシャリスト」になるのは些か無理があります。まずは、石油関連の専門知識の習得を図り、そういった事業を行う企業に就職し、戦略立案や交渉を任せられるだけの実力をつけ、成果を認められる必要があります。

繰り返しですが、目的とはやや漠然とした「成し遂げたい事柄」であるのに対して、目標というのは「目的を成し遂げるために達成する、具体的なライン」です。上記例からも分かるとおり、目標というのは目的に対して複数個存在し、段階的に達成していく場合もあり得るのです

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■目標を立てる意義

目標を立てる最大の意義は、「行動するモチベーションを思い出させ、行動を促す」ことです。

勿論、目標を達成することで目的を成し遂げる、というのもあるのですが、実際には目標を達成することよりも、目標を立てたことによって「何かしら行動を起こした、行動が変化した」ことに一番の価値があります。

難しい目標を達成することは、間違いなく素晴らしいのですが、絵に描いた餅で結局実行が伴わなかったり、達成できなかったことでモチベーションを下げてしまって行動を止めてしまうことの方が問題です。

目標に対する行動を振り返る時「達成/未達成」を測るだけで無く、「行動が変化した」ことに対しても評価を行うことをオススメします。現実に、目標は立てたが何もしない人は決して少なくありませんので「非達成だったけど、ちゃんと実行した俺エライ!」ぐらいに思ってもバチは当たりません。

また、目標を立てる最大の意義が「行動を起こす」ことであるため、目標を立てる際には、その目標を策定するに至ったモチベーションも併せて想起できるようにしておくと更に効果的です

例えば、英語を毎日15分勉強する、という目標そのものは、具体的ではあるものの、何故そういう目標を立てるに至ったかが不明です。例えば、「会議で英語が全く出てこなくてショックだった。簡単な英語で良いから次は必ず自分の考えを伝えたい」という、悔しかったエピソードなどがかなり効果的です。

自分の事だから、書かなくてもモチベーション部分を思い出すことは容易なのですが、書き出しておいた方が思い出す手間が省ける上に、より確実に目標を立てた時の感情を想起できます。(エピソード記憶は感情の想起も伴うことが多いので、エピソード記憶を思い出すものが良いです)

■本来のストレッチ目標の考え方

もう一つ、大切なことは、目標には必ず「ストレッチ」を持たせることです。日本の企業ではよく、ストレッチ目標のことを「努力目標」とか、そうじゃない目標を「必達目標」と言ったりしますが、そういう事ではありません。

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本来のストレッチ目標は、それ自体の達成・未達成はあまり重要ではありません。

ストレッチを持たせて立てた目標が、結果的にストレッチを持たせなかった場合よりも行動により良い変化を与える場合においてのみ、ストレッチ目標は良い目標と言えます。

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■目標の立て方

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■目標はSMARTに

先にも述べたとおり、目標というのは具体的に達成・未達成が判断できる「ライン」である必要があるので、以下のSMARTという観点を持って目標を決めると良いでしょう。

Specific ― 具体的か?
Measurable ― 定量的に達成が判断できるか?
Achievable ― 現実的な物か?
Result-based ― 「成果」に基づいているか?
Time-oriented ― 期間が明確か?

「英語力を身に付ける」よりも「次のTOEICで800点取るぞ!」の方がより具体的ですし、達成・未達成のジャッジもし易いです。

■目標をブレイクダウンして、時系列と達成可能性を考慮する

先述の通り、目標というのは目的に対して複数個存在し、段階的に達成していく場合もあり得ます。

と言うよりも達成が難しかったり、達成するにしても随分先になりそうな大きな目標を一気に成し遂げるというのは難しいので、多くの場合、目標をブレイクダウンして、最終的な目的と目標の達成までのマイルストーンとします

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また、目標は「行動を変えること」を最大の意義としている以上、究極的には「行動」に落とし込むことが望ましいです。(詳しくは次回述べたいと思いますが、ここではほんの触りだけ述べておきます。)

例えば、

  • 最終目標
    • 「海外ビジネスで単独で交渉できるようになる」
  • マイルストン
    • 「来年末までにTOEIC950点」
    • 「来年夏までにTOEICで860点」
    • 「今年の夏までのTOEIC700点取る」
  • 行動目標
    • 「毎日単語を10個覚える」
    • 「毎日NHKラジオ講座を聴く」

といった具合に最終目標からブレイクダウンしつつ、マイルストンや行動目標に落とし込んで行くと良いでしょう。

目標を行動に落とし込む際には、できるだけ「いつ」「何を」「どの程度やるか」を明確にし、更に「やったことが重要」という評価を行うようにしましょう。

■目標を立てるためのツール

ツールは何でも良いですが、例えば私が使っているツールは、基本的にはEvernoteに目標を全て書き出して、それを印刷して手帳に貼り付けています。

ツールに求められる要件は只一つ「目標が見返しやすいこと」です。

私がEvernoteや手帳に書き出しているのは、これらのツールを私が毎日見返すからという理由だけだったりします。

■まず1年の目標を考えてみよう

目標の単位として最もポピュラーなのが1年の目標です。そして、年始に立てた目標がそのまま放置されるパタンというのが、最もポピュラーな目標管理の失敗事例です。

1年後までの期間というのは、決して短くはありませんが、突拍子もない目標を立てるのをはばかられる程度には、1年後は予測可能な未来であったりします。

1年後の目標の立て方として、私は以下の様な手順を用いています。

  • まずは1年後にどうなっていたいかという1年後のゴールイメージを書く。また、併せて目標のモチベーションとなる事柄についても書きだしておく
  • 先に述べた「SMART」という観点を用いてマイルストン(途中途中のゴール)を決めていく
  • そのマイルストンを達成する為の行動目標を立てる

もう一点、私は次に述べる「5カ年計画」と軸を併せるため、目標を「資産」、「プライベート」、「仕事」、「能力」、「健康」、「精神」の6ジャンルに分類しています。

■5年先までの目標を考えてみよう

1年の目標は「割と現実的なところ」に落ち着くことは既に述べた通りです。

現実的なところを落としどころにし続けた場合、「最終目標(夢、理想像)」への到達が厳しくなるか、著しく時間が掛かる場合があり得ます。

そんな時にオススメなのが「5カ年計画」です。

5年という月日は、仕事であれば一角のポジションを築けたり、能力や資産の面でもそれなりの蓄積が可能な期間です。

5年後の自分を理想像から割り出してやり、5年後と1年後の達成目標の間を埋める形で2〜4年後の目標を埋めていきつつ、1年後、5年後の目標も微調整を加えてやることで「チャレンジャブルな現実解」を導き出すことが可能となります。

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■最後に

今回は「目標の考え方と立て方」というテーマで、目標についての考え方と、行動を変えていくための目標の立て方について紹介いたしました。

次回は「目標を行動に落とし込む」というテーマで、立てた目標を行動に落とし込む際の工夫などについて紹介したいと思います。

編集後記

本記事を書いている途中に、熊本の震災が発生しました。一時的にではありますが、筆を止めて「僕はこんな記事を書いている場合か?」という逡巡に囚われました。

しかしながら、今僕が出来ること(そして、やるべきこと)は、仕事をしっかりやったり、こうやって記事を書くこと、そして微力ながら寄付金を送ることぐらいだと思い至り、寄付を行い本記事の執筆を再開しました。

失われた命にお悔やみを申し上げると共に、今なお被災地にて不安な夜をお過ごしの方々が一刻も早く元の平穏な生活を取り戻せるよう、自分が今できること、やるべき事に集中して行こうと思います。

【Yahoo!基金】熊本地震災害緊急支援募金 – Yahoo!ネット募金
今、出来ることをやる

参考リンク

5カ年計画と年間計画で夢を目標に変換するーアシタノ・ハックス第12回
5カ年計画と年間計画で夢を目標に変換するーアシタノ・ハックス第12回

5カ年計画と年間計画で夢を目標に変換するーアシタノ・ハックス第12回


夢を目標に、目標を計画に、計画を行動にーアシタノ・ハックス第11回
夢を目標に、目標を計画に、計画を行動にーアシタノ・ハックス第11回

夢を目標に、目標を計画に、計画を行動にーアシタノ・ハックス第11回


目標を書き出す意味とは?ーアシタノ・ハックス第9回
目標を書き出す意味とは?ーアシタノ・ハックス第9回

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夢へのアプローチ手法を3つのポイントにまとめたLT版「Beck's Strategy」をシェアします | Hacks For Creative Life! - ライフハックで明日をちょっぴりクリエイティブに -
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参考書籍

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