「経験資産」を生かすために作業記録を活用しよう

ぱうぜセンセのコメントボックス
「結局、最後まで聞けずじまいだったなあ」
ぱうぜセンセに経験資産の話を聞いたんだけど、どうやってそれを生かしていくのかについても聞いてみようとしたのに、
急な電話でセンセが呼び出されちゃったんだよね。
「文哉くん、ごめんね、もう行くね!うーんと、あたしが今までしゃべったことを元に、どうしたら経験資産を活かせるか考えてみてよ」
まさかの丸投げ。さて、どうしようかなあ・・・気づいたらもう2ヶ月たってるや。

”今までの『経験資産』を、この先に活かしていくためにはどうしたらいいのか?”

もう大学院生になるんだし、センセに頼らず考えてみるかな。

(前回のお話はこちら)自分に向いているやり方を探すために「経験資産」を棚卸ししてみよう

棚卸しのやり方は?

自宅のリビングで考え込んでいると、弟の真理哉がコーヒーを持ってやってきた。
「兄ちゃん、ぱうぜセンセの『宿題』できた?」
あ、あれ、宿題だったのか・・・
「こないだすれちがったときにちょっとだけセンセと話したんだけど、『変な宿題投げちゃってごめん、お兄さんに謝っておいて』っていって駆け抜けていっちゃったよ・・・もう新学期始まるから、学生指導で忙しいみたいだね」
「それじゃ、お前が聞きに行っても教えてもらえそうにないな」
「まあ、メールすれば答えてくれそうではあるけどね」
うーん、でもそれじゃつまんないから、自分なりにやってみてからメールしてみることにするかな。
「兄ちゃんがどう答えるのか、ぱうぜセンセも待ってるかも。大学院生ってTA(ティーチングアシスタント)やったりもするんでしょ?俺を生徒役にして、兄ちゃんがセンセやってよ」
おいおい、もう大学生なんだから「学生」って言えよ・・・まあ、何事も実践か。
「結局、どうやって棚卸しするかがよくわかんなかったよね」
そうだなあ、今までやってきたことを書き出してみようって言ってもねえ・・・
「こないだの話題に出てきた『経験』っていうの、もう一度書き出してみようよ」
そうだね、まずはそこからやってみるか。
ええと、弟にも見やすいように、ちょっと丁寧な字でノートに書こう。

ぱうぜ:指導教員としゃべると話が前に進む
かすみ:スーパーの棚卸しと考えの棚卸しは似ている
文哉:新聞部の締め切りと卒論の締め切りが重なって死にそうになる

「あれ、兄ちゃんのはただの苦労話になってるよ」
「そうか、愚痴っただけで、どうやったのか何も言わなかったね」
「俺覚えてるよ、兄ちゃんが『と、とにかく時間管理だ・・・』って言ってここで手帳とにらめっこしてたの」
うん、どこで何をすれば前に進むのかを考えないとやってられないと思って、予定を組んでたんだよね。
「何時間勉強すればいい?」が”間違っている”ワケとは
使える時間と場所が限られていることを確認してみましょう

「時間をかければかけるほど卒論ができる、ってわけでもないんだね」
悩んじゃうからね、どうしても。
この時間と場所でしか効率よくできない、っていう組み合わせがあることがあってね。それがわかってから取りかかると、なんとか終わるんだよ・・・」
結局、資料をたくさん広げられるのは図書館の自習机が空いているときだけだったから、空いている時間を狙っていったりしたんだよね。資料をざっと読んで付せんを貼るのは通学中の電車でもできるから、その時間を当ててやっておいて・・・
「それって別に卒論に限らないじゃないかな?この先、『資料をたくさん広げて文章を書く』ってこと、たくさんあるでしょ?」
「そうだね。そして、そんな机がある状況って結構限られてる」
「修論だってそうだろうし、バイトとかでもありそうな・・・家庭教師用の小テストつくるとか」
そうか、『たくさんの紙資料を見比べてまとめる』っていう機会は結構あるんだよな。
「それに、そもそも『場所と時間を考えてタスクを振り分ける』ってかなり高度なテクニックじゃないの?」
自分ではそういうつもりなかったんだけど、そういうもんなのかな。
「少なくとも、兄ちゃん自身はそれでうまくいった!と思ってるんだよね」
ああ、そうか。これが「忙しいときに俺に向いてるやり方」なのかもしれないな。
・・・ん?あれ、この話自体がもしかして・・・。
「なあ、真理哉。ちょうど今の俺たちの作業そのものが・・・」
「あ、『経験資産の棚卸し』だね」
ちょっとまとめてみようか。

【経験資産の棚卸し方】
過去の苦労話を思い出す
→うまくいった例なら、何をしたのかを思い出す
→そのやり方がほかにも活かせないかを考えてみる

「こんな感じでいいかな?」
「いや、2段目・・・うまくいかなかった例でもいいんじゃないの?」
うーん、それでいいのかなあ・・・向いてなかったから失敗したんだと思うんだけど。
「たまたまその場面ではうまくいかなかったけど、『とりあえず試してみた』っていう経験はあるんでしょ」
そうか。それなら・・・

【経験資産の棚卸し方パート2】
過去の苦労話を思い出す
→失敗した例でも、何をしたのか、どうしてうまくいかなかったのかを思い出す
→そのやり方がほかのケースなら活きるかどうか、うまくいかなかった理由がほかのケースにも当てはまりうる場合があるか考えてみる

作業記録をメタに使う

なんか面白くなってきたけど、なんか落とし穴があるような・・・
「今日さ、【棚卸し】がうまくいったのって、たまたま真理哉が俺の様子を覚えててくれたからだよね。【過去の苦労話を思い出す】って、うまくいくかな?」
「兄ちゃんはマメだから、俺がいなくてもうまくいくよ。手元にあるじゃん、俺代わりのやつが」
「何が?」
「作業記録だよ。兄ちゃん、計画の見直しやるために予測時間と実働時間メモしてるでしょ」
長期計画を「立てる」だけでは意味が無い!定期的な見直しを
時間の使い方を見なおすための作業記録

ああ、そうだったそうだった。何時間かかるか見積もって、何時間かかったかを手帳にちょこちょこ書いてたんだった。
「時間の使い方だけじゃなくて、そもそも【何をどういう風に処理したのか】のログでもあるでしょ、それ」
そっか、とりあえず手帳を読み返してみるだけでもよかったんだ。
「まあ、手帳なんてめんどくて書いてない俺からすると、【友達とかに自慢話・愚痴話でもしながら思い出す】ってほうが楽なような気がするんだけどね」
真理哉ってそういうところずぼらなんだよな。
まあ、思い出すってことがちゃんとできれば、やり方はどうでもいいのか。
「でも思い出すだけじゃその先に進みにくいかもしれないぞ。ほかに活かせるかどうかまで考えないといけないんだから」
俺だったら、手帳の余白にさらに書き込めばいいような気がするけど、真理哉のやり方だとただ自慢話して終わりだろ。
「大丈夫、先に『なんかほかに使えそうなこと無いか?』って友達に言っておけばいいよ。聞く方だって、ただの自慢話とか愚痴ってあんま聞きたくないでしょ。それに俺、いい思いつきのときはツイートしちゃうから。これ自体がログ」
ノートすら使わないのか。なんか兄弟なのに、けっこう違うんだなあ。

◇真理哉くんの独り言◇

兄ちゃんのマメさと俺のテキトー発想、あわせると最強かも!喋りながらもなんか書いてたし、あとでノートの写真撮らせてもらおうっと。それをぱうぜセンセに見せれば、ちゃんと「宿題」やってたってわかってもらえるよな。

編集後記

予告しといて2ヶ月近く空いてしまいすみませんでした。卒業式シーズンが過ぎて文哉くんが大学院の入学式を迎える時期になってしまいましたので、真理哉くんに頼んで、家庭内ブレストカフェにしてもらいました。

・・・なんか兄弟のキャラが崩壊しているような気がしないでもないですが、大学と家庭内だとちょっと雰囲気が違うということで。

ここでお知らせ。
ぱうコメ開始から早1年4ヶ月がたちました。いままで「ぱうコメでは法学学習あるある話はやめとこう」と思っていたところ、別の場所で、「法学版ぱうコメ」とでもいう企画を始めることになりました。
第0回:タイムリープカフェ、はじめます – タイムリープカフェ
「タイムリープカフェ」は「ぱうコメ」から生まれた姉妹ブログです

イラストは「ぱうコメ」にひきつづき、junさんにお願いしました。
この企画が始まったのも、アシタノレシピ読者の皆さんのおかげです。今後もどうぞよろしくお願いします。

ぜひ皆さん、「バーチャルコメントボックス」に質問をお寄せください。Twitterで @kfpause宛てにツイートしていただいても結構ですし、 #ashitano をつけて投稿していただければ適宜拾いますので、どしどしお寄せください。

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