良いチームを作るために人の器を見る目を養う ~忙しいビジネスパーソンのための「軍師の心得(その5)」~

人事異動の発令や新入社員が入社する春は、周囲に新しい人が増える季節。すなわち、これから一緒にチームを組む可能性がある人と、良い人間関係を作りあげていく時期でもあります。そこで「軍師の心得」シリーズの第5回では、戦国時代の軍師の視点を交えながら「新しい仲間の器の見極め方」を取り上げます。

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戦国時代の軍師「黒田官兵衛(くろだかんべえ)」には、黒田家を支える「黒田二十四騎」という精鋭部隊がありました。この精鋭部隊のメンバーはというと、官兵衛に忠誠を誓う24人の家臣たちです。中には、豊臣秀吉が黒田官兵衛に対して「黒田家の家臣から引き抜き、自らの家臣にしたい」とまで言わしめた猛将も含まれます。しかしこの引き抜きは、「黒田官兵衛」の配慮により結果的に実現しませんでした。

では、軍師「黒田官兵衛(くろだかんべえ)」は、どのようにしてこの「黒田二十四騎」を作ったのでしょうか。

例えば「黒田二十四騎」の一人で、非常に屈強な兵士であった「母里 友信(もり とものぶ)」の場合を紹介しましょう。彼は幼少の頃「曽我万助」と名乗っていました。そして「黒田官兵衛」から「母里(もり)」姓を与えられ「母里 友信(もり とものぶ)」と名乗るようになります。

この「母里 友信(もり とものぶ)」は体格が良く性格が強情だったため、「黒田官兵衛」は「母里 友信(もり とものぶ)」が大人になった時に自分の命令に従わなくなることを危惧しました。そこで「黒田官兵衛」は成人する前に「母里 友信(もり とものぶ)」を呼んで、家臣の「栗山善助(くりやまぜんすけ)」を兄とする形で義兄弟の契りを結ばせ、義兄である「栗山善助」の言葉には絶対に逆らわないように命じました。

この後、「母里 友信」は「栗山善助」を兄と慕いながら成長しました。この結果、大人になった「母里 友信(もり とものぶ)」は「黒田官兵衛」の命令には反論しても、「栗山善助」には素直に従ったそうです。

もちろん、「栗山善助」も「黒田二十四騎」のうちの一人です。すなわち、「黒田二十四騎」という部隊は「黒田官兵衛」にとって非常に心強いチームでした。ちなみに冒頭に紹介した、豊臣秀吉が「黒田家の家臣から引き抜き、自らの家臣にしたい」とまで言わしめた猛将とは、この「母里 友信(もり とものぶ)」のことです。

このようにチームを作る際、人それぞれの特徴や性格を考慮して編成していくことが重要になります。そこで現代のビジネスパーソンに役立つ「新しい仲間の器」を見極める方法を3つ紹介しましょう。

1.「言動の一致」を測る

先ず、新しい仲間が「信頼できる人物かどうか」が重要です。そこで会話の中でその人の考え方を伺い、その後に、その人の過去の経験の中から「その人が実際に選択した行動」を尋ねていくことで、その人の思考や言動の一致を確認することができます。その人が「他人に言っていること」と「自分のやっていること」とが同じであれば、筋が通った人物であると言えます。

2.数値化できない「ものさし」で測る

ビジネスパーソンを取り巻く環境において、偏差値や年収といった数値があります。しかし、それらはあくまで一般的な「ものさし」でしかありません。より踏み込んで「人の器を見極める」ためには、一般的な「ものさし」以外に、独自の「ものさし」を持つことが大切です。例えば、「職場の雰囲気を変えるような明るさがある」とか、「財務の数値からビジネスの課題を見抜くセンスがある」などです。また、某IT企業の採用基準の一つと言われる「この人と一緒に空港で一晩閉じ込められても、耐えられるか」というのも有効な「ものさし」です。

3.その人の「未来」を測る

企業の採用面接では、基本的に「過去の職歴」を見て人を評価します。また仕事以外の場面でも、初対面の人に対しては先ずは経験などを尋ねることから会話を始める場面があります。ただ、「今後」の活躍を期待したい人物であれば、「過去」への質問だけでなく、「未来」についても質問を投げかけてみましょう。その人の進む先に、「新しい可能性」を感じられるかどうかを確認しましょう。

■オススメのトピック・書籍

今月は一冊の書籍を紹介します。

「100の基本 松浦弥太郎のベーシックノート」 (著)松浦 弥太郎 

『暮しの手帖』編集長が書いた書籍です。書いてあることは、特別な内容ではありません。ただこの書籍を一つの「ものさし」或いは「反面教師」として読んでみると面白いかもしれません。今更、「初心にかえる」ことに強い抵抗があるような方にとくにお勧めです。

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