こんにちは、BECK(@beck1240)です。
情報管理の基礎を取り扱う「情報管理のベーシックレシピ」。2年ぶりぐらいの連載再開です・・ご無沙汰して申し訳ありません。
前回は「情報管理の仕組みを作ろう」ということで、この連載の全体像を示す仕組み作りについて概観を説明させて頂きました。
今回は「情報の収集/整理/活用/保管の4フェーズを考える」というテーマで、情報管理のフローと、それぞれのフェーズで行うアクションについて取りあげたいと思います。
情報管理のベーシックレシピ
- 管理する情報を絞り込む
- 情報管理の仕組みを作ろう
- 情報の収集/整理/活用/保管の4フェーズを考える→イマココ
- 情報の記録方法とインボックスを定義する
- 頭の中だけにある情報を洗い出す
- 取り漏らしのないメモ環境を構築する
- 紙を電子化して捨てる
- 情報はインボックス/アクティブ/アーカイブで分類する
- 情報の分類にプロジェクトの概念を加える
- 情報の分類にペルソナの概念を加える
- 情報の整理/見返しを行うタイミングを決める
- タグとフォルダの概念で情報を捌く
- メール管理もインボックス/アクティブ/アーカイブで捌く
- アウトプットのために情報を整理・活用する
- アイデア発想のために情報を整理・活用する
- EvernoteとDropboxを用いた情報管理テクニック
- 会社でEvernoteが使えない人の為の情報管理テクニックーアナログ編
- 会社でEvernoteが使えない人の為の情報管理テクニックーデジタル編
情報管理をフェーズに分けて考えると上手くいく
情報をいっしょくたに扱っていませんか?
私が大学生のころや社会に出たころは、ただ無秩序に情報を集めたりノートを取ったりするだけで、後から情報を見返すことが上手く出来ずに苦労した記憶があります。
その最たる理由が「情報をいっしょくたに扱っていたから」。
大学生のころといえば、
- 授業毎にノートを分ける(ルーズリーフを分ける)
- 時系列にノートを取っていく
- ルーズリーフが一杯になったら古いルーズリーフを授業ごとにレジュメなどと一緒に保管
という情報整理を行っていただけで、テストの時に科目毎のレジュメとノートをざっと見返す以外に情報の活用らしいことは何も行えてませんでした。
テストにパスするために情報を記憶する事が主体の内はこれでも問題ありませんが、社会人になってくると状況はがらりと変わります。
”記憶する”から”成果を出す”ことへの評価シフト
社会に出ると、多くの場合は何かを記憶することそれ自体の対外的評価は低下します。
何かを学び、記憶することそれ自体は重要ですが、最終的にはそこ(情報や記憶)から成果を出すことが求められるのです。
多くの方は新人の頃に「仕事を覚える」ことを求められたと思いますが、これは知識を得ることだけを意味するわけではなく、成果を出す為の仕事のやり方を身に付けていくことであったと思います。(これから仕事を覚える方は、そういうものかと捉えておいて損はありません)
私が大学生の頃にやっていた、大枠で分類して時系列で保管する情報管理には以下の欠点がありました。
- 分類からはみ出る情報の入れ先がない
- テストで読み返す以外の活用法がなく再利用性が極めて低い
- そもそも授業の情報しかノートが取れていない
- 予定だけは手帳で管理していたが、タスクやアイデアを管理する発想がなかった
当然、社会に出てから苦労することになります。
最大の問題は、仕事では色々なところから色々な形で情報がやってきて、それが成果物のインプットになったり、自分がやるべきタスクになったりすることです。
情報を漏れなく受け止め、それを使って確実にアクションを起こし、それを使って成果物を作り上げていくには、私の情報管理システム(と言うほどのものでもない)では到底力不足だったのです。
GTDによる情報管理
社会人になって挫折しかけていた折に出会ったのが、GTD(Getting Things Done)でした。
これまでは大枠を決めてから時系列で情報を収集していた考え方を、まずは情報を集めてから整理するという風にパラダイムシフトができたのは、何と言ってもGTDのおかげです。
GTDの考え方に従うことで、私が得た収穫は色々あって
- 情報が「予定」「タスク」「情報」を確実に捉え、それぞれがあるべき場所に振り分けられるようになった(行動の漏れが圧倒的に削減)
- アイデアをキャプチャし、育て、アウトプットに活用できるようになった
- 今集中すべき作業、今見るべき情報にフォーカスできるようになった
- 過去の情報を引っ張り出して活用できるようになった
などなど。数え上げたらきりがありません。
上図を見て貰えれば分かるとおり、私の現在の情報雨管理システムはEvernoteやNozbeなど、ツールは色々組み合わせています。会社で使用ツールが決まっていたり、使用ツールに制限が掛かったりすることがあると思いますが・・・この概念を理解し活用することには大きなメリットがあります。
情報管理フローを収集/整理/活用/保管の4段階に分けてみる
GTD的に言えば、情報管理フローは収集/処理/整理/レビュー/実行なんですが、本連載は情報管理が主テーマであり、かつGTDがあまりケアしていないタスクではない情報の扱いについて述べる必要があるため、情報管理のフローを収集/整理/活用/保管の4段階に分けることを推奨したいと思います。
私の場合以下の様なフローとなります。
- 情報をインボックスに収集する(極力Evernoteかメールに集約)
- 収集(クリップ)した情報を蓄積
- 思いついたアイデアをEvernoteにメモ
- 人に言われたことをEvernoteにメモ
- インボックスの情報を適切な場所に整理する
- 情報が「予定」「タスク」ならそれぞれのツールへ
- 残った情報を必要なノートブックに移動
- 特定のプロジェクトに必要な情報はプロジェクト毎に情報をまとめる
- アクティブな情報を活用する
- ストックされたアイデアを育てる(アウトライナーor手書き)
- アウトプットの下書きを書く(A4スケッチブック)
- アウトプットを作成
- 情報をアーカイブする
- ただのWebクリップは直接アーカイブ
- アウトプットを参考資料として保存
情報の収集/整理/活用/保管の4フェーズにおけるアクション外よう
詳細は今後の記事に譲るとして、各4ステップの概論を以下に述べておきます。
情報収集ーインボックスから定期的に集める
情報収集を行うにあたり、特に注意すべき点は「インボックスは極力少なくする」ということです。インボックスというのは、情報の受け口で、これを極力少なくすることで収集漏れを防ぐことを目指す必要があります。
私の場合は、メールで来る物は諦めて受信箱をインボックスにしていますが、それ以外の情報は紙だろうとスマホメモであろうと全てEvernoteに入れる様にしています。
私は基本的に自分の記憶力を信用しておらず、職場でアレコレ話しかけられると3つ前のトピックスはすっかり頭から抜け落ちる始末ですので、とりあえず言われた事はすぐメモに落としてEvernoteにつっこんでおく。これでとりあえず忘れ去ると言うことは無くなります。
情報整理ー適切な場所に振り分ける
情報整理の最も重要な点は、一刻も早く予定、タスク、情報の3つの分類を行い、適切なツールに適切に情報を配置することです。
予定、タスクが漏れなく実行されることも勿論重要ですが、情報管理を行うにあたり予定やタスクなどの情報を予め省いておくことで情報管理がより楽に行える様になる点も重要です。
インボックスは、常に色々な情報が入ってきてしまう恐れがあるため、情報であることが分かった時点(予定やタスクでないと分かった時点)で、インボックス以外の場所に配置するようにしましょう。
例えば、私の場合は役割毎(プライベート、ビジネス、個人的活動など)に以下の2パターンで情報を整理しています。
- プロジェクトノートブック
- 特定のプロジェクト(仕事なら案件、プライベートなら旅行の計画など)ごとにノートブックを作成し、関連する情報はそこに放り込む
- アクティブメモ
- 人に言われたこと、思いついた事など、何かしら今後使うであろう情報を置いておく場所。使い終わった物、もう不要と思った情報はアーカイブへ。
情報活用ー常にここにフォーカスする
Evernoteに情報は色々つっこんでいますが、基本的に眼を通すのは先に挙げた2種類のノートブック(プロジェクトノートブック、アクティブメモ)だけです。
Evernoteのような情報管理ツールは得てして色々な情報を放り込んでしまい、フォーカスすべき情報が分からなくなってしまう恐れがあるので、どのノートブックを常々参照するかを決めて、そこには不要な情報を入れない様に運用する必要があります。
ちなみにですが、集めた情報の活用には大きく2段階あります。
一つはアイデアを育てたり、思考したりするフェーズ。もう一つはそれをアウトプットに仕立て上げるフェーズです。
アイデアを育てたり、思考をするときには無理にEvernoteを使う必要はなく、アウトライナーやノート/スケッチブックなど、思考に適したツールを使うのも良いでしょう。
ただ、アウトプットを行う際には、そのアウトプットに必要な情報がなるべく一箇所に集まっていることが望ましいです。
先ほど挙げた「プロジェクトノートブック」に情報を集約する他、例えば参考資料のDropboxやBoxのリンクをまとめたノートを作っておく、思考するのに使ったノートやスケッチブックの内容も併せて取り込んで他の資料と併せていつでも見れる状態にしておくと良いでしょう。
情報保管ーアーカイブに貯蔵する
使い終わったメモや、作成済み資料はアーカイブノートブック等に移しておきましょう。
目的は、アクティブの中には真に対応が必要な物だけが置かれている状態とすることと、後々必要となったときにいつでも取り出せるようにしておくことです。
とりあえず、特に特定の使い途もなくクリップしたWebクリップなども、インボックスやアクティブに入れるのではなく、最初からアーカイブ扱いにしておくと良いでしょう。
■最後に
ということで、2年ぶりとなります「情報管理のベーシックレシピ」、まずは何とか再会できて良かったです。今後定期的にこのシリーズを更新してゆければと思います。
今回は「情報の収集/整理/活用/保管の4フェーズを考える」ということで、情報管理のフローと、それぞれのフェーズで行うアクションについて取りあげました。情報管理がイマイチしっくりきていない人は、まずはフェーズ分けについて考えてみてください。
今回も全体論でしたが、次回からは各論/詳細な内容に入っていきたいと思います。それでは次回「情報の記録方法とインボックスを定義する」でお会いしましょう!
ベックです!
横浜在住大阪人。本職SE。ガジェット、文具、手帳、ライフハック、モバイルが大好物な30代男性。BLOG「Hacks for Creative Life!」が主戦場です!。『EVERNOTE情報整理術』『クラウド「超」活用術』著者。勉強会『東京ライフハック研究会』の主宰者でもあります。
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