あるひとりの普通の個人が、ブログのある毎日を送り続けた、2016年

2016年にインプットした本

こんにちは。こんにちは。「単純作業に心を込めて」彩郎です。

2016年も残りわずかとなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

今年最後のアシタノレシピへの投稿なので、この連載のテーマ「普通の個人が、ブログのある毎日を送り続ける、ということ」という視点で、自分にとっての1年間をふり返ります。

ブログを続けることは、アウトプットとインプットの両面を促します。そこで、アウトプットとインプットに分けて、時系列で記載します。

【2016年1月〜4月】

1月

[アウトプット]

1月29日に、彩郎による初の著作、『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』を出版しました。

【お知らせ】『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』、2016年1月29日、発売開始です。

[インプット]

『角川インターネット講座』を読みました。

次の2つの意味で、ブログやTwitterをしていなければ、読まなかった本だと思います。

  • Twitterで、本書の存在と全巻合本版のセールを知ったこと
  • ウェブの文化に触れることで、オープンソース・ソフトウェアへの興味が湧いてきたこと

2月

[アウトプット]

WorkFlowy総合クライアントアプリであるHandyFlowyをリリースしました。

HandyFlowy、本日(2016-02-16)、公開です。どんな役割を果たすアプリなのか、全体像を紹介します。

開発チームに参加するに至った縁は、ブログによるものです。これも、ブログによるアウトプットだといえます。

[インプット]

『これから本を書く人への手紙』を読みました。

『WorkFlowy入門』の執筆中、本書のもととなったメルマガ連載をくり返し読んでいました。私はとても励まされましたので、こうして電子書籍のかたちとしてまとまって世に出ることを、とてもうれしく思っています。

レビューのような記事を、2つ、書きました。

3月

[アウトプット]

『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』がAmazonで「文書作成ツール」というジャンルに分類されていたことを受けて、WorkFlowyの文書作成ツールとしての側面を検討しました。そこで気づいた大切なポイントは、「WorkFlowyによる文書作成は、実に楽しい。」です。

「WorkFlowyによる文書作成は、実に楽しい。」という主観的な経験を観察することを通じて、文書作成ツールとしてのWorkFlowyの可能性を考察する(概観)

[インプット]

『限界費用ゼロ社会』を読みました。

「限界費用ゼロ」という概念を、私は、野口悠紀雄氏の著書などから学びました。そして、ブログを続ける中で、何度もその威力を実感してきました。たとえば、2013年5月には、次のようなことを書きました。

ブログは、ひとつの記事をひとりの読者に届けるための限界費用が、おそろしく低い

『限界費用ゼロ社会』の多くの記述が腑に落ちたのは、ブログを続けていたからこそかもしれません。

4月

[アウトプット]

アシタノレシピで、連載をスタートしました。

普通の個人が、ブログのある毎日を送り続ける、ということ(連載を始めるにあたって)

アシタノレシピは、私がブログを始めたきっかけなので、感無量です。

アシタノレシピの仲間に加わり、普通の個人がブログのある毎日を送り続けることの意味と可能性を考える。

また、WorkFlowyで文章を書くことについて書き続けていたところ、つぎの2つの大切な概念を掴みました。

おいおい、この2つの概念を中核にして、1冊の本をまとめたいと思っています。

[インプット]

4月のインプットは、何はともあれ、『これからのエリック・ホッファーのために』です。

本書は、在野研究者を紹介する本であるところ、私自身は在野研究者にまったく興味のない普通のワーキングパパに過ぎません。でも、読んでよかったです。

普通のワーキングパパが『これからのエリック・ホッファーのために』を読むということの意味(「好きに没頭する」ための3つのヒント)

研究というものが、誰かにとっての材料として機能する作品を世の中に追加するという大きな営みであること、そして、この営みに参加するためには、必ずしも大学などの研究機関に所属する必要はないんだ、ということを学びました。

自分にとってのブログのあり方に、大きな大きな方向性を与えてくれた1冊です。

【2016年5月〜8月】

5月

[アウトプット]

2月のHandyFlowy公開後、多くのユーザーの皆様が、優れた機能拡張スクリプトを多数、公開してくださるようになりました。

そこで、ライブラリ作成を呼びかけたところ(HandyFlowy機能拡張スクリプトライブラリ作成計画:HandyFlowyを世界に広げるために)、多くの方の賛同を得て、「HandyFlowy機能拡張スクリプトライブラリ」公開が実現しました。

「HandyFlowy機能拡張スクリプトライブラリ」の暫定版公開(お礼とご報告)

これも、ブログをしていたからこそ実現できたアウトプットではないかと思います。

[インプット]

『成功は“ランダム”にやってくる!』を読みました。

試行錯誤を続けることの意義が説明されています。『仕事は楽しいかね?』とも通じる本です。

本書の内容がすっと腑に落ちたのは、試行錯誤を大切にしながらブログを続けてきた経験があったからこそのように思います。

6月

[アウトプット]

MemoFlowyが進化しました。メモ入力画面から、直接、WorkFlowyに書き込めるようになったのです。

MemoFlowyの進化は止まらない。メモ入力画面から直接WorkFlowyに書き込めるように!(Android Ver.1.1 & iOS Ver.1.4)

なお、MemoFlowyは、その後も着々と進化し続けています。

HandyFlowyとMemoFlowyという2つのアプリ誕生に関わることができたことだけでも、ブログをしててよかったなあ、と思います。

[インプット]

ひょんなことからTwitterで苫野一徳さんのことを知り、面白そうだったので、『「自由」はいかに可能か 社会構想のための哲学』を読みました。

大学生の頃、私は、西研さんの本が大好きで、くり返しくり返し読んでいました。特に、『実存からの冒険』と『ヘーゲル 大人のなりかた』の2冊です。でも、大学を卒業してしばらくの間、西研さんのことを思い返すことは、ほとんどありませんでした。

しかし、ブログに文章を書き続けている中で、ふと、これらの西研さんの本を思い出す、ということが、何度かありました。たとえば、次の2つの記事などです。

この経験に、私は、自分の中にいた自分と再会できたようなうれしさを感じて、Twitterで西研さんのことを検索してみました。そうしたところ、本書の著者である苫野一徳さんを知りました。たしか、『実存からの冒険』のことをつぶやかれていたんだと思います。

7月

[アウトプット]

2016年7月、WorkFlowyをKindleの読書メモとして活用するために役立つ、2つのツールが誕生しました。マロ。さんの作品です。

ひとつは、kindle.amazon.co.jpのハイライト一覧の情報を、WorkFlowyに適した形式に書き換えるツールです。

KindleからWorkFlowyへの「入口」を拡張するツール「kindle highlight to WorkFlowy」

もうひとつは、kindle.amazon.co.jpの中から、目当ての本のハイライト一覧を直接表示するためのツールです。いくぶん使いにくいkindle.amazon.co.jpの使い勝手を大幅に上げることができます。

Kindleの「Your Highlights」で、目当ての本のハイライト一覧を、直接、表示するには?

[インプット]

『ORIGINALS』を読みました。

『Give & Take』の著者の新刊だったので、読んでみることにしました。

オリジナリティを発揮する人とリスクテイカーとの関係など、個人的にほっとする内容が多く、読んでよかったと思います。

8月

[アウトプット]

HandyFlowy&MemoFlowyの開発は、WorkFlowyの共有トピックの上で進んでいます。

そのため、HandyFlowy&MemoFlowy開発チームは、HandyFlowyとMemoFlowyを開発するとともに、WorkFlowy共有トピックを共同制作環境として活用するためのノウハウを、日々、蓄積しています。

このノウハウは、アプリ開発だけでなく、広い範囲で活用できる、汎用的なノウハウのはずです。そこで、まとめてみました。

このノウハウによって、この世の中の共同制作が、ちょっとでも活性化すると、とてもうれしく思います。

[インプット]

『ストーリとしての競争戦略』を読みました。何度もくり返し読みました。

本書を読みながら、何度も私の頭に思い浮かんだのは、物書きである倉下忠憲さんの戦略です。そこで、本書を読み終えた直後から、「『ストリートしての競争戦略』で読み解くらした先生の競争戦略」という文章を書いてます。この文章はまだ完成していませんが、いつか書き上げることができたなら、ブログかどこかで公開する予定です。

そんな倉下忠憲さんによるKDP、『ゼロから始めるセルパブ戦略』を読んだのも、8月のことでした。

煽らず、脅さず、地に足の着いた希望を示し、行動を生み出す本『ゼロから始めるセルパブ戦略』(倉下忠憲)

【2016年9月〜12月】

9月

[アウトプット]

「単純作業に心を込めて」の投稿数が、1000を超え、1001に到達しました。

数年前から、『千夜一夜物語』をひとつのモデルケースとしてブログを続けていたため、1001番めには特別な思い入れがあったのでした。

[インプット]

2016年9月頃から、私の生活は、彩郎以外の部分(つまりは、家庭と仕事)が慌ただしくなってきました。

毎日の余裕が減ったからか、腰を据えてブログ記事を書く気持ちがなかなか湧いてこず、ブログのための文章を書く時間が減りました。

他方で、本の世界に入りたい気持ちは大きくなりました。慌ただしい日常の合間を縫ってKindleを広げ、いろいろな本に没入するようになりました。そのため、読書時間はかえって増えたように思います。

中でも印象に残っているのは、『系統樹思考の世界』と『分類思考の世界』です。

WorkFlowyを偏愛するからには「系統樹」のことをきちんと学ばなければ、という程度の動機で読み始めたのですが、力強い知の世界に圧倒されました。

10月

[アウトプット]

2016年10月の1ヶ月間は、ひとつの文章も公開しませんでした。ブログを始めて以来、初めてのことだと思います。

文章をまったく書いていなかったわけではありません。何かを思いつき、WorkFlowyに文章を書き連ねること自体は、それなりに多かった気がします。

でも、文章を書き上げることができませんでした。

文章を書くことと文章を書き上げることは、別のことである。

このことを再認識した1ヶ月でもあります。

[インプット]

次のTweetを目にして、WorkFlowy×アカデミック・ライティングに興味を持ちました。

アカデミック・ライティングのための参考として再読したのが、次の2冊です。

  • 『新版 論文の教室』
  • 『論文・レポートの基本』

11月

[アウトプット]

『かーそる』が出版されました。倉下忠憲さんが編集長をつとめる、知的生産の雑誌です。私も、執筆者のひとりとして参加させてもらいました。

「かーそる」2016年11月号 [創刊号] – Project:かーそる

なかなかない雑誌だと思います。

私が書いたのは、「知的生産のフローを育てる」という文章です。Lyustyleさんに、次のような文章を書いていただき、本当にありがたいことだと思っています。

[インプット]

11月も、あいかわらず、慌ただしい日常とその合間を縫っての本の世界への没入というセットが続きました。

なかでもたくさんの時間を過ごしたのは、『火星の人』です。映画「オデッセイ」の原作で、もともとは作者が自身のブログに連載していたものだそうです。

『火星の人』を読んで強く実感したのは、「科学の知識は力である」ということです。人間がこれまで積み上げてきた科学の知識は、すごいもんだと思います。今後、少しずつ学んでいきたいです。

12月

[アウトプット]

少しずつブログやTwitterを再開しています。分人「彩郎」が、ふたたび、活性化してきました。

[インプット]

『サピエンス全史』を読みました。2016年もたくさんのよい本に出会いましたが、その中でも、文句なしNo.1の一冊です。

それから、『ブロックチェーン・レボリューション』を読み、ビットコインやブロック・チェーンのごく基礎的なところを、はじめて理解しました。そして、「これはすごい」と脱帽しました。

『サピエンス全史』とブロックチェーンは、私の中で、わりとまっすぐにつながっています。

両者をつなぐのは、「信頼」です。

『サピエンス全史』からブロックチェーンへ

ブログ記事を書き上げたことで、私はこのことを認識しました。文章を書き上げることは、自分の中の何かをきちんと掴むための、効果的な方法です。普通の個人がブログのある毎日を送り続けることの、確かなメリットだと思います。

【まとめ】

アウトプットの面では、盛りだくさんの1月から8月までと比較して、9月から12月はがくっと落ち込みました。ブログ投稿数で見ても、明らかです。

  • 1月〜4月:合計63個
  • 5月〜8月:合計47個
  • 9月〜12月:合計10個

たしかに、9月から12月は、家庭と仕事に多くの時間を費やしたため、そのぶん、ブログやTwitterなど、彩郎を生きる時間が減りました。分人「彩郎」の構成比率がかなり小さくなってしまい、自分でも、「彩郎をもっと活性化させたかったなあ」と感じていました。

でも、こうしてふり返ってみると、9月から12月までの時期にも、ブログやTwitter、そして彩郎という分人は、確かな役割を果たしていた気がします。というのも、この期間に読んだ多くの本から、私は、いくつかの大切なテーマを受け取りました。たとえば、時間軸、進化、信頼などです。でも、これらの本の多くは、ブログをしていなければ、また、彩郎がいなければ、読むことすらなかったかもしれません。また、仮に読んだとしても、大切なテーマを受け取るほどのインパクトは受けなかったように思います。

ブログの更新頻度ががくっとと落ちた9月から12月までの期間も、私はちゃんと、ブログのある毎日を生き続けていたように思います。

こうして受け取ったいくつかのテーマを軸にして、2017年も、ブログのある毎日を生き続けていこうと思います。

それでは、よいお年を。

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