「彩郎」は、どう育ってきたのか?(普通の個人が、ブログのある毎日を送り続ける、ということ)

こんにちは。「単純作業に心を込めて」彩郎です。

と、こんなふうに自己紹介するのは、アシタノレシピのこの連載だけで、10回を超えます。ウェブ上のテキストによる自己紹介だけでなく、実際に目の前にいる人に対し「こんにちは。いろどろうです。」という言葉を発して自己紹介をしたことも、既に片手で数えられないほどの回数になりました。

「彩郎(いろどろう)」というのは、私の実名ではありません。当たり前ですけど。

「こんにちは。いろどろうです。」という言葉を発して自己紹介する日が来るとは、以前は想像すらしていませんでした。当然ですけど。

ですが、今の私は、自分が「彩郎」であることに何の違和感も感じていませんし、目の前にいる人に対して「こんにちは。いろどろうです。」と自己紹介するのも(それほどは)恥ずかしくなく、また、「ねえ、いろどろうさん」と呼ばれたら、自然に体が反応するくらいになっています。ほんの数年前には存在していなかった「彩郎」という人格が生まれ、ここまで育ってきた、ともいえます。

「彩郎」は、ブログ「単純作業に心を込めて」とTwitterで育ちました。今回は、「彩郎」が育つまでのことをふり返ります。

1.「彩郎」の誕生

ブログ「単純作業に心を込めて」を始めるとき、私は匿名を選びました。実名を出すと、どうしても、リアル社会を生きる実名人格とのつながりが生まれてしまいます。私がブログに求めていた大切な役割のひとつは「実験場」でしたので、リアル社会の実名人格から切り離すためには、匿名でなければならなかったのです。

当初は、ブログ用のニックネームも決めていませんでした。発信したいのは情報なのだから、そこに人的なものはなくていい、と思っていたためです。でも、しばらくブログを続けているうちに、「中の人」的な人格が欲しくなりました。

理由は、2つあります。

ひとつは、ブランディングとして。ブログで継続的に情報を発信しても、情報を発信している人の顔が見えないと、なかなか覚えてもらえないんじゃないか、と感じました。ブランディングの効果を高めるに、人っぽい存在を用意したほうがよいのではないか、という戦略的判断です。

もうひとつは、コミュニケーションのため。公開したブログ記事に対して、ごくたまに感想や質問のような反応をいただくことがあったのですが、それに対してお礼を伝えたり、返答をしたりするための手段がありませんでした。これに対して、人っぽいTwitterアカウントがあれば、気楽に反応できるような気がしました。

こんな経緯で、2013年1月、「彩郎」というTwitterアカウントが生まれました。

「彩郎」は、「彩ろう!」です。つまんないダジャレなのですが、私はこの「彩郎」を最初からかなり気に入っていて、Twitterアカウントを登録したときには、本当にワクワクしたものです。こうして、「彩郎」はTwitterに産声を上げました。

(↓これが彩郎の最初のTweetです。)

Discover your first Tweet | Discover

2.「彩郎」の成長

その後、「彩郎」は、少しずつ、段階的に、育っていきました。きっかけとなる出来事を、時系列で淡々とふり返ってみます。

(とても長いです。ざーっと読み飛ばしてください。)

[2013.06〜]Kindleのハイライト箇所共有

当初は、Kindleのハイライト箇所共有ばかりしてました。

これは、伊坂幸太郎の『砂漠』からの一節。

[2013.09]坂根さんとの保育園談義

少しずつ人っぽいコミュニケーションが出てきました。たとえば、ブログ友達で先輩パパの坂根さんとのやりとり。

そんな坂根さんと、今はアシタノレシピをご一緒させていただいてるのですから、うれしいですねえ。

[2013.12]るうさんとのつながり

自分のブログでも何度か紹介しているるう(@ruu_embo)さんとのつながりは、2013年12月。ふり返ってみると、大きなターニングポイントです。

私がるうさんから学んだことは、自分が「よい」と感じたものを、そのまま伝えることの力。Twitterなどで自分が「よい」と思った何かと出会ったら、素直にただ「よいと思った」と伝えてみることを実践してみたら、Twitterにおける彩郎の人間関係は、するすると広がっていきました。

[2014.01]山本道成さんからのメール

彩郎用のメールアドレスをブログに設置してからしばらく経って、WriteNoteの作者である山本道成さんからメールをいただきました。

Evernote×タスク管理(3) これが決定版!Toodledoの完了タスクを1日1ノートでEvernoteに蓄積する方法

愛用するアプリの作者さんに、直接お礼を伝えることができ、とてもうれしく感じました。ブログやっててよかったなあとしみじみ感じたエピソードのひとつです。

[2014.02]ブログで考え合う

Toodledoとiftttを巡る一連の経緯で辿りついたコンセプトが、「ブログで考え合う」です。

500番目の記事に、「単純作業に心を込めて」でやりたいことを見つける(ブログで考え合う)

私は、元来、自分個人のクリエイティブさについて、全然自信がありません。でも、ブログで考え合うなら、そんな自分でも、全体としてのクリエイティブさの一端を担うことができるかもしれない、という希望を感じました。

[2014.02]ヒーローの動機付けと、WRM読者の仲間入り

倉下忠憲さんのブログR-styleの記事を面白く読み、ワクワクしながら一気に書いたこのレポート。

「ヒーローの動機付け」に対するレポート(問いの設定の一例)

この記事をきっかけにして、彩郎として、倉下さんとTwitterで会話できました。

さらに、その少し後のWRM(倉下さんのメールマガジン)で取り上げていただき、これを機に、WRM読者の仲間入りへ。

[2014.04]彩郎、リアルで人に会う

そんなこんなで2014年4月ころには、彩郎として、何人かの方とゆるゆると続くコミュニケーションを取るようになっていたのですが、ちょうど東京に行くタイミングがうまく合い、るうさん、Tak.さんと3人で食事をすることになりました。彩郎として初めてのリアルイベントです。

このとき、はじめて、「はじめまして。いろどろうです。」という言葉を発しました。いやあ、緊張したし、恥ずかしかった。

[2014.04〜]『文章教室』2014期生

その際、るうさんに結城浩先生の『数学文章作法 基礎編』の紙本をいただきました。

タイトルに「数学」とついていたため、自分には関係のない本だと早合点して敬遠していたのですが、一読してすぐに、これはすごいと打ちのめされました。

その流れで結城浩先生のウェブコンテンツ『文章教室』に取り組んでみたところ、最終的には、『文章教室』2014期生のクラスメイトができました。

結城浩先生の『数学文章作法 基礎編』を読んでから、『文章教室』2014期生のクラスメイトができるまで(あるいは、『文章教室』2014期生へのお誘い)

[2014.10]『FacebookとTwitterで実践するセルフブランディング』

彩郎としてTwitterやブログで振る舞うにあたって、大きな影響を受けた本は、倉下忠憲さんの『FacebookとTwitterで実践するセルフブランディング』です。

自分の持ち味を発揮することと、価値を見い出されること。『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』

[2014.11]Evernote・アウトライナー論争に、Evernote派として参加

2014年11月、次の記事が出ました。

アウトライナーを使うとファイルの概念が消えていく:Word Piece >>by Tak.:So-netブログ

個人的には、日本のアウトライナー界隈に、とても大きな影響を与えた、記念碑的な記事だと思っています。

この記事を受けたるうさんによる次の記事は、(局地的な)Evernote・アウトライナー論争の幕開けとなりました。

るうマニアSIDE-B – Evernotとアウトライナーの融合に対する試案(2014)[思考のOS]

彩郎は、この論争に、Evernote派として参加しました。

[2014.12]EvernoteからOmniOutlinerへ

ちょうどこの記事(読書・文章・手帳システム・ブログ・物語/2014年に収穫した10冊+αの本 #mybooks2014)を公開した2014年12月にも、私は彩郎として、東京でるうさん、Tak.さんたちと食事をしました。

Evernoteでブログ記事を書くことに限界を感じていた私は、この際、Tak.さんにアウトライナーでブログ記事を書く秘訣を根掘り葉掘り聞き出し、その後、OmniOutlinerを「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」として使うことを模索し始めました。

[2014.12〜2015.01]大晦日のWorkFlowy・元旦のWorkFlowy

2014年12月の1ヶ月間、OmniOutlinerでブログ記事を書いてみて、なかなかうまく機能しそうな気がしました。しかし、OmniOutlinerでは、スマートフォンからブログ記事を書くことができません(当時は、iPhoneアプリがありませんでした)。そこで、WorkFlowyへの切替えを決めました。

WorkFlowyを使い始めるにあたって最初にしたことは、Twitterでの情報収集です。2014年の大晦日、紅白歌合戦を見ながら、Twitterを「WorkFlowy」で検索し、ヒットする情報を片っ端からチェックし、めぼしい情報をリツイートしました。

そして、2015年1月、彩郎はWorkFlowyを本格的に使い始めました。

[2015.02]段差ラ部共有アウトライン

2015年2月22日、マロ。さんとTak.さんを中心とするアウトライナー友の会(通称「段差ラ部」)が、関東で会合をすることになりました。

私は参加できなかったのですが、マロ。さんがWorkFlowyのトピック共有機能を使って、掲示板のようなものを用意してくれました。

[2015.07]「ここにいたんだ」の夏合宿[2015.07]

Tak.さんが『アウトライン・プロセッシング入門』を出版した記念に、何人かでリアル夏合宿をしよう、ということになりました。

そこでWorkFlowyの便利なTips(ハサミスクリプトとか、一括折りたたみショートカットキーとか)を実演したところ、「おぉ」と感心していただき、「ここにいたんだ」という感慨を抱きました。

[2015.07]出版企画への応募

WorkFlowyの本を書きたいと思い、出版企画に応募しました。彩郎名義での出版です。

1年前

[2015.09]HandyFlowy開発プロジェクトスタート

2015年9月に、山本道成さんからいただいた一本のメールをきっかけに、HandyFlowy開発プロジェクトが始まりました。

MemoFlowyへと合流したふたつの流れについて(MemoFlowy開発チーム誕生の経緯)

[2015.10]HandyFlowy&MemoFlowy開発チームの誕生

2015年10月、HandyFlowy開発チームにるうさんらが加わり、MemoFlowy開発も始まりました。

[2015.12]MemoFlowy公開

2015年12月、MemoFlowyが公開されました。

MemoFlowy(iOS版)、本日(2015-12-03)公開です!

彩郎は、アプリ開発チームメンバーとしてデビューしたのです。

[2016.01]『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』出版

2016年1月29日、彩郎著の『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』が出版になりました。

【お知らせ】『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』、2016年1月29日、発売開始です。

彩郎は、実在する出版物の著者となりました。

[2016.02]HandyFlowy公開

2016年2月、HandyFlowyが公開されました。

HandyFlowy、本日(2016-02-16)、公開です。どんな役割を果たすアプリなのか、全体像を紹介します。

[2016.04]アシタノレシピ参画

2016年4月、アシタノレシピの仲間に加えていただきました。

アシタノレシピの仲間に加わり、普通の個人がブログのある毎日を送り続けることの意味と可能性を考える。

私がブログを始めたそもそものきっかけはアシタノレシピなので、とても光栄です。

[2016.08]『アウトライナー実践入門』のことを語ろうの会

Tak.さんによる『アウトライナー実践入門』が出版された機会に、るうさんが、『アウトライナー実践入門』についていろんなことを語ろう、という会を開催してくださいました。

ここにも私は彩郎として参加して、彩郎としてTak.さんの直筆サインをゲットしました。

3.「彩郎」をふり返って感じる3つのこと

以上が、彩郎の誕生(2013.1)から現時点(2016.08)までの概観です。

ふり返ってみて、次の3つのことを感じます。

(1) セルフブランディングの方向

ひとつめは、セルフブランディングの方向、です。

私が、彩郎という人格を用意した理由のひとつは、セルフブランディングでした。ブログでの継続的な情報発信をセルフブランディングにつなげるには、彩郎という人格があったほうがよいのではないか、と考えたのです。

たとえば、当時の「単純作業に心を込めて」はEvernoteやToodledoのことをたくさん書いていました。そこで、ブログの導入に「こんにちは、彩郎です。今日はEvernoteを子育てに使う方法を紹介します!」的な感じの自己紹介を入れたり、自分が書いたToodledoの記事をTwitterで積極的に共有したりすれば、「彩郎=Evernote・Toodledo」というイメージを広めることで、「なるほど、彩郎はEvernoteに詳しいんだな。」「彩郎のToodledo情報は役に立つ。」などと認知してもらえるのではないかと期待しました。

方向でいえば、自分の内側から外側へとアピールする方向です。自分がアピールしたいイメージをプッシュする、といってもよいかもしれません。

リアル世界を生きる実名人格としての私は、自己アピールが苦手で、それほど好きではありません。特に、ウェブ上で実名を出して自己アピールすることに対しては、強い抵抗感を持っていました。でも、ブログに関するセルフブランディングはしたほうがよい気がする。だったら、実名人格から切り離されている彩郎を使えば、もっと強く自己アピールをプッシュできるのではないか、と思ったのです。

ところが、当初の目論見はもろくも崩れ去りました。

彩郎も私です。好き嫌いや得意不得意は、実名人格としての私と何も変わりません。だから、彩郎も、自己アピールは苦手で、それほど好きではありません。

たとえば、上の時系列を見てみると、彩郎のTwitterアカウントの登録は2013年1月ですが、初つぶやきは2013年6月です。なにもつぶやかずに約半年。しかも、つぶやきはじめてからも、当初はKindleのハイライト箇所共有ばかりで、自分が書いたブログ記事のプッシュは、それほど熱心ではありません。

当たり前ですが、彩郎も私であり、実名人格の私と同じようなことを快適に思い、同じようなことに躊躇を感じるわけです。いくら実名人格から切り離された人格を用意したって、得意でないことが得意になったり、嫌いなことが好きになったりはしません。

そんな当然のことに気づき、まあいいかと思っていたのですが、結果として、今、彩郎という人格は、私のセルフブランディングにとって、決定的に重要な役割を果たしています。自己アピールを強くプッシュすることについては、それほど熱心になれていないにもかかわらず、です。

なぜでしょうか。

見つけてもらったから、だと思います。

私がしてきたのは、

  • 彩郎という人格を用意すること
  • ブログに情報を出し続けること
  • 彩郎と情報を紐付けること

です。

これを淡々と続けていたら、情報を必要とする人が情報を取りに来てくださるようになり、その中の一部の方が、彩郎という人格を見つけてくださいました。たとえば、るうさんとの出会いも、山本道成さんとのご縁も、こうして彩郎を見つけていただいたことからです。

方向でいえば、自分から強くプッシュする自己アピールの方向ではなく、自分が出した情報をどなたかにプルしていただく方向のセルフブランディングと言えます。

倉下忠憲さんが、こんなことをおっしゃっています。

Webにいろいろ出していけば、それに価値を認める人が出てきて、そこからつながりが生まれる。そのつながりは、(それまでの)人生に揺さぶりをかけ、そんなことが起こるとはまったく思っていなかったようなことが起こる場所に自分を接続してくれる__可能性がある。

R-style » 人生と実用的なノウハウ

私が彩郎を通じて体験したセルフブランディングは、まさにこんなことでした。

(2) 「ここにいたんだ」

彩郎という人格を用意した理由のふたつめは、コミュニケーションでした。

コミュニケーションの点では、わりと当初の目論見どおりでした。でも、ここにも、予想を超えるものがあります。

『宇宙兄弟』という漫画に、「ここにいたんだ」という台詞が出てきます。主人公の六太が、宇宙飛行士選抜試験の閉鎖ボックスの中で、他の受験生たちに対して心の中で発した台詞です。

「ここにいたんだ」

ここにいたんだ

誘ったら喜んでついて来てくれそうな連中が…

ここにいたんだ

六太は、子どもの頃からずっと宇宙のことが好きだったのですが、宇宙のことを友達に話しても、なかなか理解されません。ところが、宇宙飛行士選抜試験を共にした受験生は、全員が、そろいもそろって大の宇宙好きです。同じ試験を戦うライバル関係ではありますが、六太は彼らを仲間だと感じます。

私たちはうどんを作りながら いっぱい話した

サーベイヤー3号に付着していた微生物のこととか 昔 話題になった火星の人魚のこととか

けっこうマニアックな話もした

俺の話が通じてる—!

みんなの話も手に取るようにわかる 楽しい!

宇宙飛行士選抜試験に比べればこぢんまりしたスケールですが、彩郎も、「ここにいたんだ」と感じられるたくさんの出会いに恵まれました。たとえばWorkFlowyにしても、私がここまでWorkFlowyに熱中できているのは、WorkFlowyについてとことん深掘りできる方々のおかげです。

ウェブは広く、たくさんの人がいます。自分が心底好きなテーマがどんなニッチなものであっても、自分と同じようにそのニッチなものを好きな人が、ウェブの中には、きっと存在しています。

問題は、そんな人がウェブのどこにいるのかわからないことですが、何も自分から探し出す必要はありません。

  • ウェブのための人格を用意し、
  • ウェブに情報を出し続け、
  • 人格と情報を紐付ける

を淡々と続けていけば、いずれ、人格と自分が心底好きなことが結びつき、その人格を、同じくその何かを心底好きな人に、見つけてもらえる、かもしれません。

結果論ではありますが、彩郎という人格は、私に「ここにいたんだ」をもたらしてくれました。

(3) もうひとつの「ここにいたんだ」

彩郎が実現してくれたことが、もうひとつあります。これは想定外のことです。

『ダイヤモンド』という曲があります。BUMP OF CHICKENのメジャーデビュー1曲目です。「何回転んだっていいさ」から始まるこの曲の歌詞には、次のような一節があります。

やっと会えた

君は誰だい?

あぁ

そういえば

君は僕だ

大嫌いな弱い僕を

ずっと前にここで置きざりにしたんだ

弱い自分を置き去りにしてここまで来たけれど、そうやって切り捨てた弱い自分もかけがえのない自分だから、最短距離で前に進まなくったっていいから、転んだって迷ったっていいから、弱い部分もひっくるめた自分の全部を大切にして、生きていく。

それが『ダイヤモンド』が歌うひとつのメッセージなのかなと思います。

「大嫌いな弱い僕を置き去りにする」というと、大げさで情緒的です。でも、「かつて大事にしていた物事を、最近の生活では全然活用していない」ということなら、おそらく誰にだってあります。小学生のときにハマったゲーム、中学や高校で一生懸命取り組んだ部活、学生時代にくり返し読んだ小説や漫画。自分をふり返ってみれば、そんな膨大な時間とエネルギーと情熱を注ぎ込んだこれらのものを、最近はちっとも活用しないで毎日の生活を送っているんじゃないかと思います。

かつて大事にしていた物事は、自分の一部分です。今の生活の中では活躍の場がないそれらは、発揮されることなく、不活性状態で自分の中に残されています。

それは別に悪いことではないと思うのですが、私自身は、彩郎としてブログを続ける過程で、何度も、発揮されずに自分の中に残っていた自分と再会しました。

どの自分も、自分としてわりと好きな自分です。前に進むために切り捨てたわけでもありません。でも、今の日常を生きるためにはちっとも活躍してもらわなくてもかまわない自分なので、すっかりその存在を忘れ去っていました。

そんないくつもの自分と再会できたのは、彩郎という人格をもってブログを続けてきたからではないかと思います。

彩郎は、こんな、もうひとつの「ここにいたんだ」をもたらしてくれました。

—編集後記—

今回の記事を書き上げるのは、かなり苦労しました。

自分のこと、しかも、自分自身で肯定的に評価している自分について書くことの難しさではないかと思います。どんなふうに書いても、自慢になってしまい、過去を美化してしまい、盛ってしまい、美談にしてしまうのです。どんだけ「彩郎」が好きなんだ、という話です。

とはいえ、実際私は「彩郎」に関する諸々をすごく気に入っています。だから、最後は開き直って、好きなように書いてみました。書き上げたことで、自分にとっての「彩郎」という存在の意味合いが、すこしクリアになった気がします。

さて、作家の平野啓一郎さんが、「分人」という概念を提唱されています。今回紹介した「彩郎」は、私を構成する「分人」のひとつだと理解できます。

普通の個人が、ブログやTwitterなどに「分人」を形成することには、どのような意味があるのか?

次回は、「彩郎」を題材に、普通の個人がウェブ上に「分人」を育てることの意味について、ちょっと抽象的に考えてみます。

2週間後にまたお目にかかれたらうれしく思います。

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