長期的に取り組む作業の「計画の立て方と遂行のコツ」

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こんにちは、BECK(@beck1240)です。

月イチテーマの「計画の立て方と遂行のコツ」にひとつエントリーしておこうと思います。

今回は「中長期的に取り組む作業」を前に進める為のコツを、実際私がやってきた失敗とそこから学んだことなども交えながらお伝えさせて頂きます。(2010年〜2013年頃、仕事をやりながら本を書いていたときの経験談を中心に)

■まずは計画。見通しを立てよう。

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■中長期の作業は分割しないと取り組めない

「再来週のプレゼン本番までにパワーポイントの提案書を作る」みたいな複数日にわたって取り組む必要がある大きなタスクを、そのまま実行に移すというのは大変に困難です。

よほど神に愛された才能を持っていない限り、真っ白なパワポを前に、徒手空拳で資料を作り上げる事は不可能に近いと言っても言いすぎでは無いでしょう。。

私の場合、最低限以下のタスク分解を行い、資料の分量や重要度、ステークホルダーなどによって更に細かくマイルストンを置いたり、作業分担のための下ごしらえ作業を加えたりします。

  • 資料の目的、最終ゴールを明確にする
  • アウトラインを決める
  • 各ページの概要をざっと書き出す
  • ベースになりそうな過去の資料を漁る
  • 不明点や要調査項目の抽出
  • 調査、データ集め
  • ドラフト資料執筆
  • (レビュー)
  • 正式版資料執筆
  • (最終レビュー)

タスク分解を行う際は、どこまでタスクを細かくすれば良いか、という点についてよく聞かれるのですが、個人的には「どんなに大きくても3時間以内」がタスク分解の一つの目安だと思っています。

例えば、資料の執筆作業にのべ10時間程度は掛かりそうだというのであれば、章ごとにタスクを分けたり、80%の完成度でチェックポイントを設けるなどの

ちなみに、本を書くと決まった直後、真っ先にやったのが以下の計画。

  • 目次案の確定と、各節の文字数の推定
  • 各章の図表の数をざっくり算出し、作成作業量を推定
  • 大凡の1日の作業量の見積
  • 各章の原稿受け渡し時期、図表提示の時期のマイルストンを置く
  • 各章の原稿執筆と校正の大きな線表を決める

本を書く場合、通常は出版社の企画会議を通すので、その時に本の目的や、概要、ターゲット、大まかな流れは固まっているはずですので、コンセプトを具体的な形に落とし込むところからスタートすることが多いです。

タスク分解としては、大凡以下の様なタスク分解を行います。

  • 各節の本文執筆(50節あるならタスクが50個)
  • 各章の図表作成(5章あるならタスクが5個)
  • 各節の初校、二校、著者校(章ごと、5章でタスク15個)

ちなみに、先の「真っ先に立てる計画」は往々にして頓挫します

人は計画をあまめに見積もる傾向があるというのと、結局書いていく内に著者・編集者の両者が色々と変更をしたくなるので、まずは「目安」ぐらいで計画を立て、後は走りながら落着点を見つける、というのが常です。

ここで一番重要なのは、目次案を組み直そうが、節を追加しようが、書く文字数が膨らもうが、図表の数が増えようが、原稿の2/3ぐらい丸っと書き直しになろうが、最初に「何文字の節を、何個、どれぐらいのペースで書こうとしたか」という計画を”立てておく”ということです。

一度、計画を立てておけば、後からそこに変更を加えるだけで良いですし、まずは精度の低い見積もりでも、実績との乖離から自分の生産性を測ることができます

繰り返しますが、完璧な計画などこの時点では不要です。やってみて、フィードバックを掛けながら計画を磨いていけばいいと、割り切りましょう。

参考リンク

実行力を高めたいならタスク分解を極めなさい | 今、夢に生きる
タスク分解はこの記事がとてもよくまとまっています

Toodledoと手帳でタスクを回す!/ビギナーズ・ハック第29回 | シゴタノ!
懐かしい記事ですな

■計画はマイルストンの設定と締め切りからの逆線

さて、先ほどサラッと

  • 各章の原稿受け渡し時期、図表提示の時期のマイルストンを置く
  • 各章の原稿執筆と校正の大きな線表を決める

と書いてしまいましたが、はじめて取り組む場合は、この辺のダンドリを組む事自体が高難度だったりしますよね。

これらの計画を立てる最もベーシックな方法は、マイルストンを決めて、最終締め切りから逆線表を引いていく方法です。

マイルストンの設定が自分1人では難しい場合は、周りの人にアドバイスを貰うと良いでしょう。

本の執筆の場合は、大凡の執筆期間目安を伝えれば、編集者から「では、x月x日に印刷所に出す予定で、2ヶ月前の○月○日を脱稿日にしましょう」といった具合に、締め切りとマイルストンを置いてくれます。

その他、例えばプレゼンであれば、本番からの逆線で、リハーサル(前日)、プレゼン内容確認(3日前)、資料レビュー(5日前)、ドラフトレビュー(10日前)などとマイルストンを置いておくことで、何をいつまでにやらなければ行けないかを明確化できます。

■細かく砕いたタスクをいつやるか”決める”

タスク分解とマイルストン明確化を行った後、マイルストンを守れる様な、タスクの実行タイミングを決めて行きましょう

例えば、脱稿日までに2ヶ月あるとして、50セクションの執筆と5章分の図表作成を行う必要があるなら、約60日なので1日1セクション(或いは1章分の図表作成)を行えば良い計算となります。

毎日1セクションずつ書くのか、或いは土日にまとめて7セクション分書くのか、どちらがいいかは生活リズムや性格によりますが、まずは細かく砕いたタスクを実行する日にちを確定させましょう。

タスク管理システムへの登録をお忘れ無く!

参考リンク
適切なタイミングでタスクを遂行する/ビギナーズ・ハック第28回 | シゴタノ!

■遂行のコツ。

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■定期的に予実を比べ、リカバリープランを考える

先の例で言えば、1日1セクションずつ書いていけば、確かにゴールに到達することは可能です。

しかしながら、実際には十分な執筆時間を確保出来なかったり、変更や割り込みが入ったり、気分的な問題で筆が進まなかったりといった様々な阻害要因で、スムーズに進捗しないことが珍しくありません

ここで大切な事は、大凡の目安として、1週間後、2週間後にどの程度完了している必要があるかという予定と、実際どの程度実績として達成できているかが比較出来る様になる、ということです。

理想的なペースが1日1セクションだとして、月曜日から金曜日の間に2セクションしか進まなかったとしたら、3セクション分の遅れが出ている訳ですから、土日で5セクション書いて巻き返そう、みたいな判断を行える様になります。

この予実の比較と、リカバリープランを立てるというサイクルを一週間ぐらいで回せば、進捗をオンスケジュールに戻せないまでも、ある程度確実に作業進捗を前に進める事が出来る様になります。

■自分の持ち時間と、見積もり時間を常に比べる

もう一点、非常に重要なのが「自分の持ち時間」を見える化して、自分が行おうと思っているタスクの見積もり時間と見比べるということです。これも、1週間単位ぐらいで比べるのが良いです。

例えば、その週に7セクション書く必要があり、1セクション3時間程度の時間が掛かるとすると、それらタスクを遂行するためには時間は21時間必要です。果たして自分には、その21時間という時間を確保するだけの時間的余裕があるのかを確かめる必要があります。

自分がどの程度の時間を「持っている」かを確認するためには、自分の予定とタスクを一通り全て同じ時間軸にプロットする必要があります。プロットする先はGoogleカレンダーでも、手帳でもよいですが、形式はウィークリーバーチカルを推奨します。

Googleカレンダー

私の場合、手帳のウィークリーバーチカルリフィルにまずは家の用事、次に会社の仕事をマッピングし、何も予定やタスクがない時間帯を「執筆時間」として確保、週当たりの合計時間を算出し、見積もり時間との比較を毎週行っていました。

参考リンク
「予定」と「作業」の情報から「時間」を可視化するーアシタノ・ハックス第3回

予定とやることを書き出して時間を管理しよう ー 自己管理のベーシックレシピ

■自分の生産性を測る

皆様お気づきの通り、「自分の持ち時間」と「見積もり時間」のどちらともが、あくまで自分が見積もった数字でしかありません。なので、見積もりの精度が甘ければ、持ち時間が思ったよりも取れなかったり、タスク遂行に予想外な時間が掛かる、なんてことも起こりえます。

見積もりの精度を高めることが、計画通りタスクを遂行することにつながることは火を見るよりも明らかです。そして、自分がタスク遂行に要する時間を計測する以外に、見積もり精度を高める方法はありません。

例えば本やブログなど、文章を書く場合は1000文字書くのに必要な時間などを指標値として持っておくと良いですし、パワーポイントを用いた資料作成ならスライド1枚の作成時間などを指標値化しておくと良いでしょう。

参考リンク

新しいことを始めるときには「手持ち時間」と「見積もり時間」でジャッジするーアシタノ・ハックス第5回

行動の記録を残そう ー 自己管理のベーシックレシピ

■最後に

あえてタイトルに「プロジェクト」という言葉を使いませんでしたが、「長期的に取り組む作業」というのは、GTD(Getting things done)的に言えば、プロジェクトのことです。

特にSE業界では「プロジェクト」の計画と遂行なんて書いたら、真っ先にWBSだガントチャートだって話になってしまい、個人よりもチームマネジメントを想像され、本職で「進捗遅れを土日で挽回」みたいなことを思い出して胃が痛くなるので、敢えて「プロジェクト」という言葉を使いませんでした。

ちなみに、「予実を書き出して進捗遅れが出たらリカバリープラン」は完全にガントチャートの稲妻線表管理なわけですが、それ以外の要素はGTDだったりTaskchuteだったりします。

書かれている全ての内容(つまり、BECK流)は受け入れがたいかも知れませんが、部分的にでもご自身の「計画/遂行」の仕組みに取り込めそうなものがあったならば、是非参考リンクや参考文献などもご参照の上、取り組んでみていただければ幸いです。

参考文献

Taskchute式の教科書といえば

GTDの教科書といえば

WBSを漫画で学べます

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