ブログを書く事が僕にとっての「素振り」だった

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photo credit: Keith Allison via photopin cc

 僕の人生のロールモデルの一人に”ゴジラ”松井秀喜がいる。

根っからの阪神ファンだった私が、巨人軍のスター選手という印象が色濃かった彼に、強烈な尊敬の念を抱くきっかけとなったのが彼の著書である「不動心」との出会いだった。

はじめて「不動心」を目にしてから7年の月日が流れたが、その中で最も鮮烈に焼き付けられた言葉がこれ。

「努力できることが才能である」

松井秀喜が父親から贈られ、座右の銘とした言葉である。元は画家の硲伊之助(はざまいいのすけ)の言葉。若かりし頃の彼は、この言葉を壁に貼りだし、それを見ながらひたすら「素振り」を繰り返したという。

僕は一歩ずつ階段を上っていくタイプだと思います。急激にすごい数字を残すとか、すごい技術を身につけるとか、そういうことは恐らくないでしょう。一進一退を繰り返しながら、ちょっとずつ進歩していくしかないと思っています。

彼の謙遜も多分にあるかもしれないが、清々しいまでの愚直さと、これ程までに努力という言葉が似合う人がいるだろうかと、ただただ感動したことを覚えている。

社会人3年目の頃、仕事で大きな挫折を経験したばかりの僕にとって「努力」が生み出した「怪物」はその存在自体が希望であった。

■ブログを書く事が僕にとっての「素振り」だった

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■最も重要な価値観「素振り」との出会い

そして、本書で僕は自分の中で最も重要な価値観である「素振り」と出会うことになる。

悔しさは「過去」でなく「未来」へぶつけるのです。僕にとっては、それが素振りです。

(中略)

ほんの些細なことでもいい。「未来」へ向かう決意を、何か行動にしてみたらどうでしょう。僕の素振りだって、野球では基礎の基礎です。しかし、それを毎日欠かさず続けていくことが、いつかきっと、自分を高めてくれると信じてきました。 

この言葉が、決定的に僕のマインドを変えてくれた。

「悔しさをバネに」

なんて使い古された表現ではピンと来なかったけど、松井秀喜が悔しさを「未来」へぶつる為に行った「素振り」は実に腹に落ちた。「なにくそ」と奮起することで変わるのはその時の気分だけであり、「なにくそ」と奮起した先に起こした行動だけが、未来を変えるのだ。

僕は落ち込み、酒をあおり、眠れぬ夜をケーブルテレビで埋める生活に終止符を打つと決めた。その頃から、意識して読書でのインプットを行い、ブログでアウトプットを行う様になった。いつしか、ブログを書く事が僕にとっての「素振り」となったのだ。

■ブログを書くという「素振り」がもたらした3つの効果

勿論、ただブログを書けば「素振り」になるわけではない。

ブログを書きはじめた最大の動機は、アウトプットすることで、インプットの定着率を高めたい(学びを最大化したい)というものだったので、これを満たすことを常に心がけた。

ブログを書くという「素振り」を続ける内に、どうやらこの「素振りに」には当初の目的以上の効果があるようだと言うことに思い至った。その効果を挙げると次の3点になる。

  • インプットした内容の定着率が高まった
  • 話の引き出しが多くなった
  • 物事を構造的に、分かりやすく伝えるアウトプット力が鍛えられた

1つめの効果「インプットの定着率が高まる」のは、当初の思惑通りだった。

アウトプットを念頭におけば、内容を構造的に理解しようという意識が働いて何度も読み返すため、漫然と流し読みするよりも明らかに記憶が強化されるのだ。

2つめの効果「話の引き出しが多くなる」は、ブログならではの効果だろう。

一度記事としてまとめた内容は一つのエピソードとして記憶から取り出し安く、また2000文字前後という程よい文量なので、ちょっとした会話ネタになる。何より、一度文章にまとめた内容なので、思い出しながら、考えながら話すよりも随分とスムーズに話すことができる。

最後の効果は「物事を構造的に、分かりやすく伝えるアウトプット力が鍛えられる」というものだ。

他の人に伝えることを念頭にアウトプットを行うと、言い回しを考えたり、冗長な部分をそぎ落としたり、物事を構造的に組み立てたり、例示や図表を使って理解しやすくしたりと、様々な工夫を凝らすことになる。

ブログを書くことは、このアウトプットトレーニングを繰り返し行うことになるので、資料作成やプレゼンなど、他のアウトプットにも応用可能なアウトプット力を鍛える効果が得られたのだ。

■あなたにとっての「素振り」とは?

ブログを書くことが僕にとっての「素振り」となってから、7年程度の時が流れた。今ではなにやら「ブロガー」や「ビジネス書著者」の様なタグも付けられているが、基本的にブログ執筆は今でも「素振り」であると認識している。

仕事の中で調子が良いときも悪いときも、PJが炎上しているときも暇なときもブログを書き続けてきた。時には精神安定剤の役目も果たしたし、先に挙げた3つの効果の通り、自らの能力向上にも大いに役だったと思っている。よく言われるように、ブログを通して沢山の出会いもあった。

挫けずここまでビジネスの最前線で戦ってこれたこと。そして、何度も挫折を重ねながらもそこから這い上がり、それなりに成果も挙げてこられたこと。全てではないにせよ、ブログを書き続けるという「素振り」のおかげで乗り越えられた局面があったことも事実だ。

勿論、「素振り」がブログを書くことである必要は無い。たまたま僕にとって、ブログを書き続けることが「未来へ向かう決意を表す行動」であったにすぎない。

もしも、あなたが僕と同じように「努力を重ねることで未来は切り拓ける」と信じられるのであれば、是非あなたにとっての「素振り」を探しだし、それに取り組み続けて欲しい。その小さな積み重ねがやげて大きな力となり、あなたの未来を切り拓いてくれるはずだ。

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