目からウロコの子育てレシピ26 子どもが進路を考えるきっかけをどうつくるか

こんにちは。知的生活ネットワーク@Lyustyleです。

今回は,いただいたリクエストから書かせていただきました。

先日、ある俳優の方にお会いしました。その方は、子どもの頃、有名劇団のミュージカルを見たとき、強いあこがれをもち、それがきっかけになって俳優を志したのだそうです。そして,現在その憧れの劇団で,主役をやっておられます。

みんな、どこかで人生の決心をした結果、今があるのです。

その決心は、いったい,いつ何がどこでどのように促すのでしょうか。

成功者たちは,長い時間をかけてやりたいことを見つけてきた

「やりぬく力」という本があります。

「人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」をみにつける」というのが副題です。

この中に興味を引くことが述べられています。

著者のアンジェラ・ダックワース博士は、成功者にインタビューをする前は、どの人にもある日ある時,突然天から与えられた情熱に目覚めた瞬間があったにちがいないと思っていたのだそうです。

しかし、実際にはそうではなく、ほとんどの人は「これだ」と思うものが見つかるまでに何年もかかっていて、その間、さまざまなことに興味を持って挑戦してきたことがわかったというのです。

最初から「これが自分の天職だ!」と思っていたわけではないという事なのです。

私たちは、仕事で成功している人や好きな仕事に打ち込んでいる人を見ると、出発点からして自分とは違うのだと思ってしまいがちですが、そうではなく、そんな成功者たちも、本当に一生かけてやりたいものがみつかるまでにはかなりの時間がかかった場合が多いというのです。

つまり、自分から進路なりやりたいことなりを考えるようになるには、長い時間をかけて「見つける」ということが必要なのです。

子どもの興味関心に関心を持ちサポートする

これはある面「目からウロコ」でした。

私は,人生の早いなるべく早い時期に何らかのことをスタートしないと,そのことについての一流にはなれないと感じていましたので,息子には3歳の時にピアノ教室に連れていきました。

別に音楽家にしようと思っていたわけではありませんが,ピアノ教室につれていくととても興味をしめしたので,この子がピアノのある生活ができたらさまざまなことにつながっていくのではないかと思ったのです。

でも,そのことは決してそれを一生やる,ということにはつながりませんでした。

結局息子は小学校2年生でピアノをやめました。

やりたいことがほかに見つかったのです。自分でアクターズスクールのちらしを見つけてきて,歌や踊りをやりたいというのです。

私たちは,それをサポートしました。

小学校の卒業とともにそれをやめ,中学ではテニスをし,副キャプテンまで勤めました。

高校では太鼓に打ち込んで,今に続くたくさんの友達をつくったようです。

大学でもそのまま続けるのかと思いきや,今度はお茶を始めました。

そして,いまは,それらとは直接何のかかわりものない仕事についています。

人生のそれぞれの時期に,「今やりたいこと」を見つけ,それに打ち込む。私たちはそれをサポートしてきました。

それでいいのかどうか,ピアノを何が何でも続けさせるべきではなったのか,時に迷い,悩みましたが,今ではこれでよかったのかな,と思います。

子どもが「自分なりにやりたいことを見つける」という資質をはぐくんでこれたかなと思うからです。

先の本の筆者は言います。「おとなになったらなにをしたいかなど、子どもの頃には早すぎて分からない。」

とすると、親に今できることは、子どもの興味に気づき、それを経験させる機会をつくるなどのサポートをすることです。

先の俳優さんにしても、あこがれをもっただけで、それが強い興味となり、持続して何にもぶれずに最終的にオーディションに合格するという道をすんなり歩けた訳ではありません。

そこには、娘の俳優へのあこがれを察知し、そのために何が出来るのかを考えて出来ることするチャンスを与え、仲間に出会わせ、時にはメンターとなって、興味と意欲を持続する手立てをとったはずです。

「わたしはやる!」という情熱は子どもの興味を観察できた親によって伸ばされる、と前掲書には説明されています。

・・というと,私は,息子の「ピアノを何が何でもやる!」という情熱を伸ばすことができなかった,ということになるのでしょうか。私は,息子のピアノへの興味と意欲を持続する手立てをとれなかったのでしょうか。

私は逆だと思っています。ピアノから興味関心がなくなったということを観察したことで,いち早く別のことを見つけてくる機会を持たせることができたのだと思います。

どちらがよいのか

「いやいや,続けさせていればのちに才能が開花したり,天職になったりすることができたかもしれない」という考えもあるでしょう。

でも,そうでないこともあるのです。興味関心を失い,いやでたまらなくなったのに,親がその夢に基づいて子どもに続けさせ,結局人生の長い時期を自分のしたいことをやれずにすごしてしまったということです。

どちらがよいのかそれはわかりません。

無理やりやらされた結果,「自分にはそれ以外にない」とあきらめてその道に打ち込み,才能を開花させた人もいるでしょう。逆に,結局何にもならなかった人もいるでしょう。

なにがよいのかどうかは,その時にはわかりません。

しかし,「私はやる!」という情熱は,子どもの興味を観察できた親によって伸ばされるということは間違いないと思います。

息子は現在,自信をもって自分で仕事を選び,それを続けているからです。

人生のさまざまな時期において,自分がやりたいことを見つけ,それに打ち込む,という経験をする中で,きっとよい友達を見つけ,自分から人生を切り開くという感覚を身に着けてきたのではないかと思います。

かと言って,ちょっと手を付けてころころとやりたいことを変えていくのは「やり抜く力」をはぐくむ上ではよくないと,前掲書の著者,アンジェラ・ダックワース博士は言います。

「やめてもよいが,ただしやめるのは条件があり,(中略)区切りの良い時期が来るまではやめてはならない。始めたことは最後までやり通すべきであり,最低でもある程度の期間は,一生懸命に取り組む必要がある。

言い換えれば,今日先生に怒鳴られたから,競争で負けたから,明日は朝練があって寝坊できないのがつらいから,などという理由でやめてはならない。

嫌なことがあってもすぐにやめるのはゆるされない」

といのが博士のうちでのルールだそうです。

あくまで「やり抜く力」を育むという視点からですが,親としては子供の成長への責任を持つ上でわかりやすい話ではあります。

まとめ

「子どもの興味を観察し,それをサポートする」ということが大切です。

子どもが自分の興味に基づいてさまざまなことを経験していく中で,さまざまな非認知能力もそだっていくことでしょう。きっと,そのことが大事なのだと思います。

子育ては,悩みの連続ですが,「子どもの興味に興味を持つ」ということを大事にしていればきっとその場その場でよい判断ができることと思います。

アドラーの言う通り,それは子どもを「尊敬する」ということですよね。

それでは,また,2週間後にお会いしましょう!

本の紹介

 

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