課題を解決するための本の読み方・付き合い方 ー 心振るわせてくれたあの本があったから今がある

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こんにちは、ベック(@beck1240)です。

本稿は以前投稿した「課題を解決するための本との出会い方」の続編です。GW中に書こうと思ってたのにすっかり間が空いてしまいました。

今回は、私の個人的な体験談を交えながら「課題を解決するための本の読み方・付き合い方」について述べてみたいと思います。本との出会い方は前回の記事で述べましたので、ここからは出会ってからの付き合い方にフォーカスしたいと思います。

■もし、この本と出会っていなかったら

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■藁にもすがりたい時「不安」に立ち向かう武器となる

現在、私は社会人12年目なのですが、これぐらいの年次になってくると、仕事に関する大凡の推測やダンドリが見えてくるようになります。

対して、若かりし頃、特に新入社員〜5年目ぐらいまでの間は、知識や経験の知識が乏しいので新しい仕事にアサインされる度、かなりの頻度で「不安」に苛まれていたことを良く覚えています。

その時々で「不安」の中身は異なります。

例えば新入社員の頃は、次々に周りから言われること(しかも話される言葉の半分以上が意味不明)をどうメモやノートに残せば良いか分からなかったり、予定やタスクを上手く管理出来なかったり、将来への漠然とした不安を抱えていたり、などなど。

インターネット上で答えを探し回って、やっと「7つの習慣」や「TQ-心の安らぎを得る究極のタイムマネジメント 」、「はじめてのGTD ストレスフリーの整理術」、「マニャーナの法則」といった本の存在を知り、これらを貪るように読みました。

また、3年目ぐらいになってくると、定型的業務から、ゼロベースからの資料作成やアイデアを求められる業務に変わり、資料の出来が悪すぎて社内の偉い人に資料を破り捨てられる憂き目をみたりもしました。

この時は、精神的にも追い詰められて、藁にもすがる思いでアイデア出しや情報をアウトプットする方法を探し求めていました。

最初にたどり着いたのは勝間和代さんの「効率が10倍アップする新・知的生産術」という本で、情報のインプット/アウトプットや考え方、勉強法など当時かなりの影響を受けたことを覚えています。ブログをはじめたのもこの本がキッカケです。

また、「考具」や「アイデアのつくり方」といった本で、これらのおかげでアイデアを出す基礎力を身に付けることができたように思います。「一冊のノートで始める力・続ける力をつける―人生も仕事もうまくいくアイデアマラソン発想法」に書かれていたアイデアマラソンという手法を取り入れたこともありましたし、古典的名著である「知的生産の技術 」に出会ったのもこの頃です。

その後も、人間関係に悩んだり、自分の精神面のケアに悩んだり、チームのマネジメントに悩んだり、情報の共有やチームとしてのアウトプットを高める方法に腐心したり、交渉やプレゼンが上手くいかなくて悶々としていた時期もありました。

幸いにして、それらを解決するきっかけとなる本と出会うことができたことで、その時々の課題を解決することができ、今日に至ります。もしも、これらの本に出会うことが無かったなら、私はいったいどうなっていたんだろうかと、空寒いぐらいです。

■実践のため、カタチから入ることも重要

勿論の事ながら、本と出会い、それを読むだけで課題を解決出来ることは極稀です。多くの場合は得た知識を使って何らかの実践を行わなければ、課題を解決することにはなりません。

先ほど「7つの習慣」や「TQ-心の安らぎを得る究極のタイムマネジメント 」を紹介しましたが、これらの本と出会って速攻でフランクリン・プランナーという手帳を買いました。

決して安い買い物ではありませんでしたが、これらの本に書かれていることを実践する最も簡単な方法が、これらの本のベースとなっているツールを使用することだったのです。

その後、ほぼ日手帳や各種クラウドツール(Googleカレンダー、Toodledo、Evernote)へと使用ツールは変わって行きましたが、今でも「7つの習慣」や「TQ-心の安らぎを得る究極のタイムマネジメント 」で紹介されている、フランクリン・プランナー式のやり方がベースになっています。

流石に勝間勝代さんの本を読んだからと言って、本格的なロードバイクやレッツノート3台は買いませんでしたが、まだ自分なりのやり方が確立できていなかった頃は、本の内容をそのまま真似るということが多かったように思います。

僕は、本に書かれている内容を実践するとき、取り敢えずカタチから入るというのは、全く恥ずべき事ではないと思っています。本を読んで何もしないよりは100万倍素晴らしい事だと思います。

まずはカタチだけでも真似てみて、自分の生活や仕事にフィットしない点が見えてきたら、自分なりのやり方にカスタマイズしていくのが良いでしょう。まずは真似る、パクる、カタチから入る。

■自分の「仕組み」を構築する

実践の最終形態は自分なりの「仕組み」を構築することです。

例えば、「はじめてのGTD ストレスフリーの整理術」はGTDの概念を学ぶには素晴らしい本ではありますが、実践するためには現代のツールに置き換える作業が必要ですし、私の場合は”レビュー””Next Action List”といった概念を理解するのに「マニャーナの法則」に書かれている”クローズドリスト”という考え方が役に立ちました。

2011年の情報管理戦略-Chap6.ほぼ日カズンをDTL&Doingリストとして使う | Hacks For Creative Life! - ライフハックで明日をちょっぴりクリエイティブに -
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また、「はじめてのGTD ストレスフリーの整理術」のワークフローや週次レビューといった仕組みと「7つの習慣」の週間計画や日次計画、或いは目標管理の考え方をミックスした運用が自分には一番しっくりきています。

EvernoteやGoogleカレンダーはとても便利なクラウドツールですが、私の場合これらを業務利用できなかったため、「7つの習慣」の運用をするのに最適なツールである手帳を、クラウドツールと併用するカタチに落ち着きました。

自己管理の仕組みを作り上げよう ー 自己管理のベーシックレシピ
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勿論、読む本によって実践の意味合いは変わってきます。楽しみの読書はその本によって感情を動かされることが目的となるでしょうし、知識の獲得その物が目的である読書もあります。本を読んで思考を巡らせることが重要である場合もあるでしょう。

今回のテーマである「課題を解決するための読書」に於いては、実践、ことさら自分の行動を具体的に変えていくことが重要な鍵を握ります。是非、本を読みながら「コレを真似よう」「あの行動を変えよう」と思いを巡らせてみてください。

■心振るわせる読書体験を求める

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■1冊の本がズバリあなたの課題を解決することはない

「課題を解決するための読書」というと、ズバリ困っている事を解決する方法が書かれている本を読めば良いと思われるかもしれません。

ただ、残念なことにタイトルがそれっぽくても、Amazonの評価が非常に高くても、書店でベストセラーとして平積みされていても、その本があなたの課題をズバリ解決してくれる可能性はそれ程高くはありません。

売れている本が何故売れているかと言えば、キャッチーだったり、営業が力を入れていたり、内容が分かりやすくて万人受けしていたり、新聞や電車の広告欄に広告を打っていたりするからです。

更に、残念ながら本というのは売るために、ある程度汎用的な内容で書かれることになるため、まずドンピシャであなたの課題を解決してくれる本というのはまず無いと思った方がいいです。

例えば「海外製ERPパッケージ製品を日本企業の職人が作り上げた複雑な業務プロセスに低予算で炎上せずに当てはめる」みたいなニッチな本は無い事もありませんが、こういった広くは売れない本の刷り数はかなり絞られます。さらに、実際に読み手としては更に重要な製造業、通信業、小売業などの適用業態別に書かれると言うこともまずありません。

そして何より決定的な問題が、「本とあなたのレベルがあわない」可能性が高いという事です。課題意識があるくらいですから、むしろその課題に対する能力や知識が不足していて当然なのです。

世の中には古典的名著と呼ばれる本が沢山ありますが、「他の本はこの本の焼き直しに過ぎないから、読む必要はない」みたいな言葉を鵜呑みにして、いきなりそれらに当たると全く意味が分からず、玉砕してしまう可能性があります。

■課題を解決するための読書テクニック5選

では、どうすれば良いのか?

ここではテクニックとして以下の5点を挙げておきます。

  • 本を買う前にネットで下調べをする
  • 課題を解決してくれそうな本を複数冊読む
  • 簡単な本から入ってステップアップを意識する
  • 何度も読み込み、読書メモを作る
  • 自分の実践内容をブログに書く

本を買う前にネットで下調べをする

前回も書きましたが、本を買う前に一度「ググってみる」というのはとても重要です。まずは自分の困りごとを解決してくれそうな本を探し、次に候補となる本が本当に自分の課題について書かれているかを見極める。基本的にはこの2ステップです。

Amazonで高い評価が沢山付いている(或いは高い評価しかついてない)本はサクラが評価をつり上げている可能性がありますし、タイトルが内容を表していない本も珍しくはありません。ブログなどの書評記事は本の概要やどんな人に役立ちそうかといった情報がまとまっていることが多いので、2,3書評を眺めてみれば、大凡その本で得られる内容が把握できます。

課題を解決してくれそうな本を複数冊読む

情報収集にせよ、課題解決にせよ、類書を複数冊読むことで得られる価値は非常に高いです。

類書ですので、同じような内容が書かれているのですが、重要な事はそれぞれの本の中で共通的に登場しますので、「あ、これ前の本にも書かれてたから大事な事なんだな」と気づく事ができます。複数回目にすることで記憶の定着率が上がるメリットも享受できます。

また、それぞれの本でレベルも違えば著者の立場やライティングスキルも異なります。

難解すぎてついて行けない、或いは著者の文章が糞過ぎて読むに堪えない場合などもありますので、複数冊を同時並行で読みはじめて、一番読みやすいもの、或いは一番「面白い」と感じた物を優先的に読み進めるようにすると良いでしょう。

そして何より、次の節に書いている「心振るわせる読書体験」と出会う可能性を高めるためにも、類書を複数冊読むことを強くお奨めします。

簡単な本から入ってステップアップを意識する

類書を複数冊読むのに近い考え方ですが、自分のレベルにあった本を選ぶこともとても重要です。

自分が解決したい内容が書かれた本が難しいと感じたなら、恥ずかしがらずに平易な説明・図解・マンガなどで理解を促進してくれる入門書を読みましょう。基礎知識や周辺知識が不足している状況で、難解な本を何度読んでも辛いだけで一向に理解は深まりませんので。

また、逆にいつまでも入門レベルの本を渡り歩くことも賢明とは言いがたいです。段々とレベルをあげていかなければ、いつまでも根本的な解決に至れませんので。

何度も読み込み、読書メモを作る

全ての本でこれをやる必要はありませんが「これは!!」と思った本については、本を何度も読んで、本に線を引っ張ったり、読書メモを作ったりすることで、内容の理解を促進し、情報の再利用性を向上させることができます。

こと「課題を解決するための実践」を目的とするなら、読書メモにはその本の要約も感想も不要です。その本に書かれている、自分が真似よう、取り入れようと思った箇所を抜き出したり、具体的に自分の行動をどう変えるかをメモに残していきましょう。

また、全ての本で使えるテクニックではありませんが、オーディオブックを使って素読や再読を行う事で、本を何度も読む事への負荷を下げることもできます。

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自分の実践内容をブログに書く

読書メモを残すの応用例となりますが、自分なりの実践方法をブログで公開することも非常に有用です。書評ではなく、あくまで実践内容を書く、という点が重要です。

既にこの記事の中でいくつか私の実践内容を記事として紹介していますが、これらは私がこれまで仕事や家庭の課題を解決するために本を読んで、実践してきたその時々のスナップショットです。

実践内容を記事というカタチにまとめるためには、それなりに体系立てた整理を行う必要がありますし、自分の中で整理し切れていない曖昧な部分を他人を意識することで言語化することができます。記事にまとめることで、自分自身の振り返りが容易になるというメリットもあります。

実践内容をブログ記事にして公開すれば、それを読んだ人からフィードバックが貰える場合もあるし、同じような課題を抱えている人にとっては完全な解決策ではないにせよ、強力なヒントになる可能性があります。

実践内容をブログに書くことは、自分の考えを整理し、振り返りを容易にし、人の役にも立てる一石三鳥のテクニックなのです。

■そこに心振るわせる読書体験はあるか?

先ほど、「課題を解決してくれそうな本を複数冊読む」というテクニックを紹介しましたが、その目的の一つは「今の自分に一番あっている本に出会う」ことです。

その本を読むに当たっての自分の基礎知識や周辺知識の有無、その著者の文体や考え方との相性などなど、あうあわないを構成する要素は様々です。今日イマイチだった本が、3年後にはマッチしているかもしれませんし、今良いと思っている本が5年後だと物足りないなんてことはザラです。

先に紹介した「考具」や「効率が10倍アップする新・知的生産術」などは、はじめて読んだ時には背中に電流が走ったわけですが、もし今はじめてこれらの本を読んだとしても当時と同じ感動は味わえないと思います。

でも、この感覚を識っているということは凄く大切なことだと思っていて、私はこれを識っているが故に、例え課題を解決するための読書であったとしても「心振るわせる読書体験」を貪欲に求めます。

今将に自分の知らない世界が切り拓かれようとしている実感を得たり、自分では到底到達できない解決策やそれに繋がるインスピレーションが与えられたり、ワクワクが止まらなくてページをめくる度にアドレナリンが吹き出したり。

最後にこんなエモーショナルな結論で申し訳無いのですが、「今自分にあっている本」というのは、程度の差こそあれ、突き詰めれば「心振るわせる読書体験を与えてくれる本」なんだと思っています。

是非、本を読むときは「心振るわせる読書体験」が得られそうかを探りながら読んでみて下さい。

ちなみに、今まで難しくて読めなかった本が、何年か後にすっと読めるようになっていたりすると、それはそれでメチャクチャ感動したりします。もしも、今その本で「心振るわせる読書体験」ができなくても、いつかそういう邂逅を得られる可能性がありますので、どうぞ安心して本をそっと置いて下さい。

■最後に

かなり長くなりましたが(6000文字越えは久しぶり・・)、今回は「課題を解決するための本の読み方・付き合い方 」について述べさせて頂きました。

私は結構な遅読家なので、いわゆる読書家な方々に比べれば全然本の数は読んでいない方だと思います。

ただ、社会人になってから幾度と無く困難にぶちあたり、その度にそれを解決する本と出会い、実践し、自分なりのやり方を構築して乗り越えてきたという意味で、本とは上手くつきあってこれたのであろうとも思っています。

心振るわせてくれた数々の本があったから今がある。

今なら自信を持って、そう言い切れます。

この記事を最後までお読み頂いたということは、恐らく何らかの課題を抱えておられるのだろうと思います。この記事の内容が、心振るわせる本との出会いと、実践による課題解決の一助になれば幸甚です。

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