ディベートの手順をおさらい!フローシートも書いてみよう

ぱうぜセンセのコメントボックス
【前回のおさらい】
レポートの話をしていたらディベートの話になってきた。
「ディベートが『賛成反対のどちらかに立って第三者(ジャッジ)を全力で説得すること』ってことはわかりました。でも…」

「ディベートってどんなことするんですか?」

さくらさんはディベートをやったことがないみたいだから、どんなルールなのかを教えることにしよう。

(前回のお話はこちら)発想のために「ディベートモード」のスイッチを入れてみよう

ディベートの手順

「前回の話で、賛成と反対がはっきりわかれる論題で、肯定側と否定側に分かれるっていう話はわかったかな」

「ええ、トラウマになったディベートでも、チーム戦でしたね」

「ディベートは、最終的にはジャッジが判断するんだけど、まあ、そこまでの流れはね、『ターン制バトル』みたいなもんだ」

「カードバトルとかのイメージっすか」

「そうそう。先ず話し始めるのは肯定側。肯定側が最初に、論題を具体化する『プラン』をつくる」

たとえば、論題が『日本は義務教育を早期化すべきである』であれば、それを具体化するプランをつくります。

「早期化、っていうと漠然としてるから、【3歳児から認定こども園に通うことを義務化】【教える内容は読み書きと算数と英語】とか、具体的にしていくんですね」

そう、そんな感じ。

「そして、そのあとは肯定側はそのプランを採用したことによるメリットを述べていく」

「・・・ってことは、否定側はそのプランを採用したことによるデメリットを述べていけば良いんですね」

さくらさん、勘が冴えてるなあ。

「そう、そういうこと。肯定→否定(→肯定→否定)→否定→肯定→否定→肯定の順にターンをまわしていって、最後にジャッジが【生き残ったメリットとデメリットを比べて】、どちらがより説得的だったかを判断する、というのがディベートの大まかな流れだね」

「あれ、途中で順番が入れ替わるんですね」

「そう。最後が肯定側で終わるんだよ。そして、前半のターンを『立論』といって、後半を『反駁(はんばく)』という。『反駁に入ってからは新しい主張を認めない』というルールが課されることが多いけど、慣れないうちは『大事なことは前半でいっておかないとジャッジにあまり効かない』というくらいでいいかな」

「後出しじゃんけんをできるだけ避けるってことですね」

メリット・デメリットを出し尽くす

「それじゃ、さっきの論題で試しにやってみようか。ええと、さくらさんと映二くんが賛成側、文哉・真理哉兄弟は否定側になったつもりでやってみよう」

「ええと、思いつきでもいいですか」

慎重だな、映二君は。とにかく今はやってみて。

「それじゃ・・・早期から英語をやることで、英語力がアップします」

「これが、メリットだね。ほかには?」

さくらさんが生き生きしてきた。

「姪っ子がいるのでよくわかります。小学校1年生の学級崩壊が問題になっています。3歳から義務教育にして集団行動に慣れさせれば、勉強するときにスムーズに学校生活が送れます。初等教育がスムーズに、とかですかね」

おお、すごいなあ。

「ええと、それってホントなんですか?」

否定側の文哉くんがかみついた。

「結局義務教育の最初はみんな集団行動ができないっていうだけじゃないんですか。『幼稚園に通っていた子ばかりなら学級崩壊がおきない』とか、データがあるんですか?」

「ええと・・・いや、その・・・」

「さくらさんの発想はすばらしかったけど、文哉くんの指摘もいいね。そう、ディベートでは、かならず『証拠(Evidence)』を付ける必要があるんだ。これも大事なルールだ」

文哉くんが言うように、データがあればより信頼性が増すよね。

「あ、でも、ぼくがいった英語教育については7月4日の○○新聞朝刊に記事があったような…」

「この点については、【主張・理由・証拠】がそろっていることになりますね、説得的だ」

「うんそうだね、一応揃っているね」

「これはレポートとも同じなんですねえ…」

その「問い」は何のため?レポート課題の目的とは
論拠は大事です

「まるで脚注ですね、これ」

「信用できる本ってどう見分けるの?」情報の目利きになるには
まともな参照がなされていない議論は読む気にもならないですよねえ

「そう、一つ一つ脚注を付けながら議論を言わないと、最後まで残らないんだよねえ。『それソースないじゃん!』って相手側に言われてつぶされちゃう」

フローシートを書いてみよう

「あれれ、俺、こんがらがってきちゃいました・・・否定側だからデメリットを考えなきゃ、と思って、『費用はどうするんだ』とか考えていたんですけど、兄ちゃんの言ってることも大事だし、ええと」

ああ、混乱してきちゃったかな。

「ジャッジの人って、どうやって最後判断するんですか?めちゃくちゃこんがらがりますよ」

「ディベートにお勧めのノートの取り方があるんだ。フローシートという」

いままでの部分を書きだしてみよう。
フローシート(ぱうコメ)1

「こうやって交代交代に発言した要約を書いていくんですね。上段が肯定側立論について、下段が反対側立論について、かあ」

今回のフローシートの書き方は、松本茂・河野哲也『大学生のための「読む・書く・プレゼン・ディベート」の方法』玉川大学出版部、2007年、153頁のフローシートを参考に作成しました。

「そう。それで、最後に生き残ったのをジャッジが比べる、というわけ」

「ううーん、どういうことを言っていけば有効なのか、わからないなあ」

それじゃ次回は、議論の立て方・叩き方についてお話ししようか。

◇ぱうぜセンセのメモ◇

レポートを書くときも、フローシートみたいなのを書きながら発想していくと、どこが一番強い対立なのかはっきりするよね。あ、でも、次回教える「ツッコミどころ」を踏まえてからの方がわかりやすいかな。

編集後記

ということでディベート編、まだまだ続きます。実際にフローシートを書くときには、紙を折って線を付けたりしてました。皆さんも試しにやってみてください。

ぜひ皆さん、「バーチャルコメントボックス」に質問をお寄せください。Twitterで @kfpause宛てにツイートしていただいても結構ですし、 #ashitano をつけて投稿していただければ適宜拾いますので、どしどしお寄せください。

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