ネット検索に一工夫!「書いたつもり」で掛け算しよう

ぱうぜセンセのコメントボックス
それじゃ、前回に引き続いて、ネット時代の調べ物について考えていこう。

「ネット検索をするときのコツはありますか?」

情報地図がイメージできてきたら、実際に検索してみよう。

(前回のお話はこちら)ネットでの検索のコツは?「情報地図」作りからはじめよう

キーワードで広げる・絞る

「ええと、今回は『新しくカフェを作る人にとってのクラウドファンディングの魅力と問題点』という問題意識にするんだったね」

「はい、情報地図には、『クラウドファンディングとは?』とか、『他の資金調達は?』とか、『そもそもカフェつくるときに必要な費用は?』とか、いろいろ柱ができてきました」

さくらさん、しっかりノートをとって、それを見ながら答えてくれました。えらいえらい。

「そこまで出来てきたんなら、ちょっと調べてみよう。やってみて」

「ええと、『クラウドファンディング』で検索、と」

「ううん・・・あれれ・・・なんか、ものすごく夢のある話ばかり・・・」

「成功例は沢山集まるけど、失敗例は難しいのかな」

そうだねえ、記事にしやすい方向性とか、色々あるから、ちょっと一工夫してみよう。

広げ方のヒント:キーワードをありったけ

「そういや、そもそもクラウドファンディングってことば自体新しいよね」
「他の言い方もあるのかな?」

こういうとき、例えばAmazonで検索してみると、関連するキーワードをもった別の書籍など、類似するものを示してくれます。

「あー、ソーシャルファイナンスっていうのもあるけど、これは出資じゃなくて借入れなんだね」

「本の目次を見れば、どれくらい自分の考えていることと関連しているかどうかも分かりますね」

「また、『似ているけど違うもの』がみつかれば、魅力と問題点もみえやすくなりそうだね」

「失敗例を探したいんだから、『失敗』の類似語も使ってみると良いよ」

実は、「失敗」「破綻」「焦げ付き」「倒産」など、類似語はたくさんあります。

「他にも広げ方ってありますか?」

「今回は時間が無いかも知れないけど、『検索する言語を増やす』という手があるよ」

日本語で出てこなかったら英語ではどうか?もし第二外国語が読めるなら、中国語やドイツ語、フランス語で調べるとどうだろう?情報ソースが飛躍的に増えますね。

 狭め方のヒント:「掛け算」のコツ

「うわあ、今度は多すぎてわけがわからないや…」

「むしろ、こっちの方が問題だね。まず、”  ”で囲ってごらん。クラウドファンディングで検索すると、クラウドとファンディングの両方がかかってしまう。つながった状態だけを検索したいなら、”  ”で囲う必要があるんだ」

「ええと、キーボードだと、『2』のキーをシフト押しながら押せば出てきますね」

「あと、要らない単語もまとめてひっかかるようなら、マイナスを付けて検索するとはじくことが出来るよ」

調べたいことばと関係無いことばがかかるようなら、-A っていう形で検索すれば、除外してくれます。

「それでもまだ多いなあ、どう選別しようか」

「前回紹介した喜多あおいさんの本では、『検索語の掛け算』と『”作文”して、検索ワードを明確化する』という方法を紹介しているよ」

「前者は二つ以上の固有名詞を使え、ってことですね」

はい、A B と検索すれば、AもBも含むサイトだけがかかります。これ、掛け算ですね。AND検索といいます。さきほどの” ”はフレーズ検索、そして、-(マイナス)をつけて言葉をはじくのはマイナス検索ですね(喜多あおい・後掲書102-104頁)。

「でも、作文ってどういうことだろう?」

注意が必要なのは、掛け算する言葉を間違えると必要な記事までとりこぼしてしまうことです。

求める記事を見つけるコツは、自分で架空の記事を書いてみることです。(中略)架空の記事を頭の中で二、三行書いてみる(p97参照)。そうするとどんな表現(特にどんな形容詞や副詞が当てはまるか)を使うのかと言うことが明確になります。それを名詞に掛けてあげるのです。そうすると、いっぺんにヒット率が高まります。(喜多あおい(著)『プロフェッショナルの情報術 なぜ、ネットだけではダメなのか?』(祥伝社、2011)95頁)

「へえ、スーパーキッズの記事が作りたかったら、『子ども』×『なのに』か、おもしろいなあ(喜多あおい・前掲書97頁)」

「実際に書いてみようとすれば、特徴的な言葉が出てくるから、それを含むサイトだけひっかけるようにすればいいんですね」

いやはや、これはホント目から鱗でした。もちろん、決め打ちをするんじゃなくて、ある程度幅のあるようなキーワードで試してくださいね。

そうこうしているうちに、色々な情報が集まってきたようです。

情報の「出所」も保存しよう

「これなら、レポートも書けそうです、ありがとうございました…」

「あああ、ちょっと待って!これだけじゃダメだよ!」

「え、もう十分そうなんですけど」

「さくらさん、このあとどうするの?」

「ええと、今日調べたサイトの記事を元にレポートを書きます」

「レポート書くときに必要なもの、忘れてるよ」

さくらさんも映二くんも黙りこくってしまった。一年生最初のレポートだと、むずかしいかな?
でも、最初が肝心。ぐっとこらえて待ってみよう。

「・・・あ!これ、このあと脚注を付けなきゃ!」

そうです、ネット検索でありがちなこと『出所のメモを忘れる』ですね。

「信用できる本ってどう見分けるの?」情報の目利きになるには
引用とか参照って、『自分の書いていることが何を受けたものなのかをたどれるようにする』目的でやる …
引用とか参照って、『自分の書いていることが何を受けたものなのかをたどれるようにする』目的でやるんです

「ネットで得た情報の脚注ってどうするんですか?」

「うーんと、『誰がいつどんなタイトルで書いたのか』までは普通の本と同じだけど、それに固定リンクのURLと、いつ自分が最後にアクセスしたのかを書く必要があるね」

「なんでですか?」

ネット上の情報は改変しやすい。だから、『自分が見たのはこの時点の情報です』っていうのを明らかにしておく必要があるんだ」

たとえば、こんな感じです。

NHKニュースおはよう日本番組サイト「いま注目!クラウドファンディング」2013年6月18日(最終アクセス2014年6月13日)http://www.nhk.or.jp/ohayou/marugoto/2013/06/0618.html

「でも、書き換わっちゃったら困りますね」

「だから、、印刷したりスクリーンキャプチャしたりEvernoteに保存したりして、自分が見たのはこの情報です、っていう証拠を手元に残しておくべきだよ」

「そっか、そうしないと後からたどれなくなっちゃうんですね」

「気軽に調べられる分、うっかり忘れてしまうから、気をつけようね」

◇ぱうぜセンセのメモ◇

ネットの情報をうまく使っていろんな視点を含んだレポートを書いて欲しい。『ネットなんてゼッタイ信用ならん』なんて時代ではない。ネットにしか無い情報も沢山あるし。信用できるかどうかはきちんと判断すれば良いんだよ。それを検証するための証拠を残しておいてね。

編集後記

前回に引き続き、一年生ゼミで指導した内容ほぼそのままです(検索ワード自体は別の物にしました)。質問してくれたゼミ生、ありがとうございます。
喜多あおいさんの本はほんとうにお勧めなので、皆さん手に取ってみてください。学生よりも、社会に出てからのほうが使いこなせる箇所(企画を通すための必勝プレゼン術など!)もあります。

ぜひ皆さん、「バーチャルコメントボックス」に質問をお寄せください。Twitterで @kfpause宛てにツイートしていただいても結構ですし、 #ashitano をつけて投稿していただければ適宜拾いますので、どしどしお寄せください。

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