メール処理のコツ~未読メール2000件の果てに~


コミュニケーションの基本手段がメールになった現在、オフィスワークにおいて1日あたりに処理すべきメールの件数は劇的に増えました。

何を隠そう、わたしも一時期、1日の受信メール件数が連日200件を超し、2000件以上未読メールが溜まったこともありました。

今回は、メール処理に悩まさ続けた私が、失敗を重ねて最終的にたどり着いた、メール処理のコツをご紹介します。

一つの黄金律

人によって方法が異なるメール処理ですが、黄金律が一つだけ存在します。

それは、「メール処理する時間はできるだけまとめる」です。

中断した仕事への集中力が、中断前と同程度になるまでには25分かかるという話もありますが、こんな話を聞かずとも、メールの通知が目に入る度にメールを開いていては、仕事が捗らないことは簡単に想像できるでしょう。

作業効率の面から考えると、メールの通知機能はOFFにし、メール処理の時間帯を決め、その時間だけメールを開くという方法がベストです。

受信するメール件数や、どの程度のメールへのレスポンスタイムを期待されているかによりますが、1日に1つ~3つ、メール処理の時間帯を設定して、処理するのが良いでしょう。

一方、「仕事がデキる人はメールの返信が早い」という説もあります。おそらく、これは本当です。仕事に与える効果の面から考えれば、即返信するのがベストだからです。

しかしだからといって、凡人がデキる人の方法を真似することはオススメできません。

デキる人は、作業を中断再開しても集中力が乱れない、または集中力が乱れても仕事への投入時間が並みでは無いので問題ないから、メールに即返信しているだけです。凡人が「メールへの即返信」だけを真似しても、それだけ一日にやりとりするメールの量が増え、ムダに疲弊するだけです。

デキる人以外は、メール処理する時間をできるだけまとめましょう。

二つの相反する処理方法

メール処理方法は大きく分けて二つあります。

一つは、開いたメールはその場で処理する。

もう一つは、優先順位を付けて、優先順位順に処理する。

それぞれの特徴を見ていきましょう。

1. 開いたメールはその場で処理する

開いたメールをその場で処理すれば、同じメールを読み返す必要がないので、理論上最短の時間でメールを処理できます。一見、完全無欠の方法に見えます。

実際、処理するメールの数が多くなければ、この方法がベストです。しかしメールが増えてくると、不具合が出てきます。

30件のメール処理が必要で、1件あたり処理に10分かかるとします。すると30件目の処理が完了するのは300分後です。もし、その30件目のメールの内容が、早急に対応しなければならないものだったら、時すでに遅しです。

詰まるところ、この方法は作業効率の面では最高ですが、仕事に与える効果の観点が抜け落ちているということです。

2. 優先順位を付けて、優先順位順に処理する

一度、すべてのメールの内容を確認し、優先順位を付けて、優先順位順に処理していけば、上で挙げた様な失敗は起こりません。こちらの方法は、作業効率を落とすことにより、仕事への効果を最大化していると言えます。

しかしこの方法でも、処理するメールがさらに増えてくると、不具合が発生します。

この方法を使って、1日ですべてのメールを処理できるのであれば問題ありません。けれどもメールが多すぎて1日では処理できず、未処理メールが溜まってしまう場合、新しいメールを確認する度に未処理メールと合わせた優先順位付けを行わなくてはならなくなります。

未処理のメールの重要度や緊急度が一定であれば、まだどうにかなりそうですが、そうは問屋が卸しません。

未処理のメールは、時間が経つにつれ、重要度も緊急度も変わります。納期が迫り、状況も変化していくからです。重要度&緊急度が変動する未処理のメールと、新しいメールの重要度&緊急度を比較し、優先順位を正しく付け直し続けるのは難しく、必ずどこかで判断を誤ります。

それでは一体どうすればよいのでしょうか?

三つの状況別対処法

上記を踏まえて、わたしがたどり着いた三つの状況別メール対処法をご紹介します。(下記で挙げている目安は、ただの目安です。仕事によって、受信メール全体の何割に対応しなければならないか、1件の処理に何分かかるか、メール処理以外の仕事に必要な時間等の条件は変わるので、目安よりも自分の感覚の方が大事です。)

1. 処理するメール数が普通の場合

処理するメール数が普通の場合(目安:受信メール件数100件以下/1日)、「メール処理する時間はできるだけまとめる」と「開いたメールはその場で処理する」の組み合わせをオススメします。

これで十分ですし、これが最適です。シンプルイズベスト。

2. そこそこのメール数を処理する場合

そこそこのメール数を処理する場合(目安:受信メール件数100件~200件/1日)、メールを処理する時間はできるだけまとめた上で、「開いたメールはその場で処理する」と「優先順位を付けて、優先順位順に処理する」、この2つの相反する処理方法の良いとこ取りをします。

具体的には、すべてのメールを読みつつ、1分で処理できそうなものはその場で処理し、そうでないものには優先順位を付けるのです。

「1分なんて短すぎる。そんな短時間で処理できることなんてほとんどないだろう」と考える方もいると思いますが、1分が最適です。

なぜなら人は作業時間を短く見積もる傾向にあるからです。

俗に実際の作業には、見積時間の1.5倍はかかると言われていますが、これは何時間もかける作業の話で、メール対応のような何分かの作業であれば、ちょっとした想定外の出来事につまずき、見積の2倍かかることはざらにあります。

その場で処理する基準の時間を2分にしていたら、実際は4分、3分にしていたら、実際は6分以上かかってしまいます。これではすべてのメールに目を通し終わるまでに時間がかかりすぎます。

良いとこ取りと言っても、あくまでも目的は優先度の高いメールに迅速に対応することであり、その場での処理は2度手間(2度読み)を減らすためのオマケなので、効率に目がくらんで本来の目的から遠ざかってはなりません。

この良いとこ取り法を使えば、そこそこのメール数であれば、効果的にかつ効率もそこまで落とさず、処理しきれるはずです。

3. 大量のメールが届く場合

大量のメールが届く場合(目安:受信メール件数200件以上/1日)、黄金律の「メール処理する時間はできるだけまとめる」は維持しつつも、突飛な手段を取る必要が出てきます。すべてのメールを処理することが物理的に不可能になってくるからです。

たとえば、「CCメールは見ない」と決めれば、目を通す必要のあるメール数を半分以下に抑えることができるでしょう。CCは情報共有のために使われる機能ですから、CCメールは見なくても比較的問題ありません。

「差出人の優先度を決め、優先度の高い差出人のメールから対応する」と決めれば、すべてのメールを処理しきれなくても、優先順位の高いメールに対しては対応できているので、問題ありません。

また、ある営業のエグゼクティブは、「1日に3件しか返信しない」と決めているそうです。3件しか返信しないのであれば、すべてのメールに目を通していたとしても、メール処理にそんなに時間はかかりません。

ここで紹介したのは、いわゆるエッセンシャル思考をする、言い換えれば、レバレッジをかけるということです。本当に重要なことに時間をかけ、後は切り捨てるのです。そうすれば非常に生産性の高い仕事ができます。

と言うのは正論ですが、実現できる人は限られることを忘れてはなりません。

私は実際に上から2つの手段を実践しました。そして、冒頭に書いた2000件以上の未読メールが残り、CCメールや優先順位の低い差出人からのメールの中に非常に重要なメールが紛れ混んでいることに気付かず、大変な目にあいました。

CCメールは見なくても「比較的」問題ないだけで、見なかったらたまに問題は発生します。差出人の優先順位付けも効果的ではありますが、たまに優先順位の低い差出人から放置したら大事になるメールが入ることもあり、優先順位が低いがゆえにそのメールを見ることができていなかったら、やはり問題が発生します。

そして一度問題が起こると、「未読メールの中にまだ問題が眠っているのではないか。しかし、物理的にすべての内容を確認する時間がない。だけど、問題が眠っていたらどうしよう。」というループ思考に陥り、多大なストレスがかかります。

結局、何かを切り捨てるということは、その分のリスクを負うということなのです。そしてそのリスクに耐えられない場合は潰れます。リスクを負える人だけが、レバレッジをかけられるのです。

「1日に3件しか返信しない」と決めている営業のエグゼクティブが良い例です。彼が真に対応すべきは、トップセールスが必要な彼の顧客と彼より上の役職者だけで、その数はそんなに多くはないでしょう。

しかし平社員であれば、担当顧客と自分よりも上の役職者はエグゼクティブの何倍、何十倍となり、「1日に3件しか返信しない」ことにより生じるリスクは、エグゼクティブに比べて大きくなります。それゆえ、この手段は取れないでしょう。

もしあなたがリスクを負えないのにも関わらず、大量のメールが届くような環境にいる場合は、どうやってその大量のメールを処理するかなんて考えず、どうやってその環境を変えるかに頭を使いましょう。その環境自体が異常です。

おわりに

この大メール時代、メール処理を制するものは仕事を制します。

しかし、いくら効率的・効果的にメールを処理したとしても、処理できる限度があります。その限度まで来たら、ギブアップするのも一つの手です。

それでは、よいタスク管理を!

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idomars
イド♂です。スイスで妻と子どもと生活しています。社会人になってからほぼ1年に一回、転勤や部署異動をしている経験から、多視点からのタスク管理論が持ち味です。ひばち(@Evaccaneer )さんと二人で、タスク管理イベント「TaskFreaks!!」を主宰しています。
テーマ別で下記3つのブログを運営していますが、現在のメインは「ハックの哲学」。Twitterですべてのブログの更新情報を流しています。

座右の銘 : 「生きるとはタスク管理することである」

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