心震える読書体験を伴う「人生の節目となった本5冊」

photo-1472745433479-4556f22e32c2

今月の共通テーマが「秋の夜長におすすめの本5冊」です。

で、その先鋒となったみやさんが、私には思いも寄らないような本が、彼女の生きてきた人生のストーリーを添えて紹介されていて、それがもうメチャクチャ面白いなと思った訳です。

あぁ、私も読んだ側から涙が止まらなくなるような読書体験をもっとしたいなという渇望を覚え、同時に自分がこれまで生きてきた中で、その本との出会いに心から感謝するようなことは何度あったろうかと思い返すに至ったわけです。

で、実際にそういった基準で5冊を選ぼうとしたら、これがめっちゃ難しかったわけです。10冊ぐらいなら割とドライに絞れるんですが、5冊は断腸の思いで切り捨てなければ行けません。身を焦がす想いで選び出しました。

ということで、一部絶版本も含まれますが、今回は「人生の節目となった本5冊」を紹介したいと思います。

■人生を決定づけた一冊「新・電子立国日本」

中学生の頃、漫然と「パソコンが好き」なだけだった私に明確な人生の指針を与えてくれたのが「新・電子立国日本」というNHKスペシャルの企画でした。

本書はこのNHKスペシャルの内容を書籍化したもの。

まだ時代はDOS/Vパソコンなるものが日本に襲来して、Windows95によって本格的なGUIでのPC利用がはじまったころでした。

その頃の私は念願のパソコンを手にしたものの、大阪の片田舎で、漫然と「専門学校に行って、ゲームプログラマーになりたい。」ぐらいのことしか考えていませんでした。

そんな私にとって、ソフトウェア帝国マイクロソフトを率いるビル・ゲイツの成功物語、そしてコンピュータ黎明期を駆け抜けたスティーブ・ジョブズとウォズニャックの英雄譚は、心躍るという言葉では全く足りない、一種の啓示とも言える衝撃的な出会いだったのです。

自分の適性なんかも鑑みた結果、大学で経営を学び、ITを独学で身に付けることに決め、その2つを武器にIT業界(ゲームではなく企業システム)へ就職し、いずれは起業したいという「夢」を持つに至りました。

そして、今も未だ中学生の頃に立てた大枠の戦略を維持しつつ、あのころ描いた「夢」に向けてひた走っていることを考えると、この本との出会いが如何に自分の人生にとって重要であったか思い知らされます。

参考リンク

■社会人2年目の苦悩を救ってくれた「7つの習慣」

「7つの習慣」自体は説明不要なほど広く知られている、自己啓発のデファクトスタンダードみたいな本ですが、私にとって本書(というか、最初は会社で受けた研修)に出会えた事を心から感謝しています。

本書に出会った社会人2年目というのは、なかなか精神的にはハードな時期でした。決して希望通りとは言えない配属、やりたいこととかけ離れた業務内容(雑用がいやだったとかでなく、アサインされた仕事に全然興味が持てなかった)、そして、それでいて次々と積み上がる予定やタスクに翻弄される毎日でした。

スケジュール管理やタスク管理といったセルフマネジメントが杜撰だったので、時々ポカミスをしては他部署の係長に怒られる、営業から怒られるなんてこともザラでしたし、その上自分がやりたかったこととは全然違うことをしていて、毎日流されるがままに生きていたので目標に向かっている実感は皆無という状況でした。

「7つの習慣」に出会った瞬間、これだと思いフランクリン・プランナーを購入しました。

ミッションステートメントや価値観は最初のころ意味不明でしたが、1週間単位で計画を立てて、毎日のタスクを書き出して、優先度と実行順をつけることで、自己管理の力と目標へ向かっているという実感を得ることができたと思います。

思想面でもテクニック面でも「7つの習慣」の影響は大きく、自信もモチベーションも喪失していて毎日「辞めたい」と思っていたあの頃の私が、この本と出会っていなかったらどうなっていたんだろうと空寒くなります。

参考リンク

フランクリン・プランナーの使い方も含めて、7つの習慣のセルフマネジメントの技術をより深く学びたい場合は「TQ-心の安らぎを得る究極のタイムマネジメント」もあわせて読むことをお奨めします。

■挫折を乗り越える勇気をくれた「仕事は楽しいかね?」

本書との出会いは、はじめて仕事で大きな挫折体験を味わい、精神的にどん底にいるときでした。

自分の出来なさ具合が心底イヤで、毎日会社に行くことが憂鬱で夜も眠れなくて、仕事が楽しいだなんて微塵も思えなくなっていたときに、たまたま見かけた本書を手に取りました。

試してみることに失敗はない(pp29)

この一言に出会った時、文字通り憑きものが落ちていくことを感じました。私が失敗だと思っていたことは、実は成功に向けて行っている試行の一つでしかなかったと気づけたとき、自然と涙が止まらなくなりました。

問題は、才能のあるなしでもなければ、
勤勉かどうかってことでもない。
コイン投げの達人じゃないってことなんだ。(PP49) 

ここで述べている文章は、そんな若造が仕事でちょろっと仕事で失敗した事よりももっと大きな話だったとは思いますが、事の本質は変わりません。

本書との出会いは、才能があること、努力をすることが、成功の条件だと思っていた私のパラダイムをガラリと変えてしまいました。最も重要な事は「色々試してみる」だなんて、自力で到達できる考え方じゃないですからね。

また本書は、「完璧以上に素晴らしい」という仕事観を与えてもくれました。

努力に努力を重ねて、コンサートである曲を<完璧に>演奏できたとします。そうすると、私はまた努力に努力を重ねて、翌日のコンサートでは<さらに素晴らしい>演奏をするんです。(世界的なフルート奏者ジャン・ピエール・ランパルの言葉 p87)

まだまだ、この領域にまでは達していませんが、それでも「もう、これぐらいで良いかな」と妥協しそうになるときに「いや、もっと期待を上回るようにしよう」ともう一頑張りが効かせられるようになりました。

参考リンク

■ブログをはじめるきっかけとなった「効率が10倍アップする新・知的生産術」

本書と出会った頃は、挫折からは立ち直ったものの、それまでのノウハウが使えない全く新しい業務にアサインされた為に、兎に角「もっと成長せねば、もっと仕事ができるようにならねば」と、闇雲に努力をしては成果が出なくて焦ってばかりいた時期でした。

本書は成果を出す為の枠組みを、インプット、考え方、アウトプット、人脈、生活習慣といったカタチで大きく区切り、それぞれに具体的な方法論を述べるというスタイルを採っていたので、私の様な混乱の極地にいるような人間には驚く程の「即効性」があり、大きな「(前進感による)安心感」を得られたことをよく覚えています。

そして、本書を読み進める中で、今後の人生に於いて重要な2つの要素に出会います。一つは「ライフハック」、そしてもう一つが「ブログ」です。

本書は「ライフハック」とは明確には謳っていなかったと思いますが、先に挙げた領域ごとに、いわゆるハックが散りばめられています。本書を読んだ後、HACKSシリーズやシゴタノ!を読み始め、ライフハックの世界にどんどんとのめり込んでいきました。

今となっては古さはぬぐえないIT機器やGmailの使い方を、現代のスマホ&クラウドツールに置き換えていく必要はあると思いますが、本書に書かれている考え方や技術の思想そのものは今でも陳腐化していない様に思います。

そして、恐らく本書に於いて、私の人生に最も大きなインパクトを与えたのがアウトプットする場としての「ブログ」という考え方でした。恥ずかしながら、本書を読むまでは、ブログというのはただのWeb上の日記だと思っていたので、将に目から鱗状態でした。

冒頭で述べた通り、この時は「もっと成長せねば」という焦りに突き動かされていましたから、まずは勝間さんのフレームワークに乗っかりつつ、自分の強化したい領域に関する本を読んだり、ネットで情報を調べ、そこでの学びや、そこから考えた事なんかをブログに書くことを愚直にはじめました。

それが、個人ブログ「Hacks for Creative Life!」であり、その営みが広がってシゴタノ!での連載や、書籍の出版、勉強会(東京ライフハック研究会)やアシタノレシピの立ち上げ、といった活動へと繋がっていきました。

参考リンク
旧ブログの記事、懐かしい!!

■亡き友人が教えてくれた『自分の小さな「箱」から脱出する方法』

本書は、ライフハック界隈で多くの人に愛されていた、今は亡き友人から教えて貰ったものです。

私の普段からのコミュニケーションに於いて、「自分は(相手は)箱に入っていないか?」「何故彼はああいう発言をしたのか?」を考えるようになり、恐らくそれによって多くの衝突を回避ができ、コミュニケーション上の問題解決を図ることができるようになったキッカケが本書でした。

本書では、コミュニケーションに関する問題を「箱」という概念で説明し、自己欺瞞に陥っているときに「箱の中に入っている」という表現を用います。

「箱の中に入っている」と言われても、さっぱり分からないと思いますが、人は何かしら問題・課題を抱えていると、物事を捉える視野が狭くなったり、自己正当化をはかったりしすると言われれば少し心当たりはあるのではないでしょうか。

コミュニケーションにおいてどちらか一方が箱に入ってしまえば、もう一方は忍耐を強いられるか、或いは自身も箱に入ってしまいます。お互い、自分の言い分だけを主張して、イマイチかみ合っていない喧嘩をしている人は、実に多いものです。

本書はストーリー仕立てで、この箱のメカニズムを説明してくれ、人がどういう時に箱に入り、そこから出るためにはどうすれば良いかを教えてくれます。

正直、難解な本ではありますが、二度三度読んでいけば、感覚的に「箱に入るとはこういう事」が理解できるようになり、普段のコミュニケーションの中で「あ、今箱に入りかけた、ヤバイヤバイ」や「今相手は箱に入っちゃってるから、この問題を解決して・・」などと少し引いて考えられる様になります。

もしも今、感情的に「あの人は、xxだから」とパーソナリティにコミュニケーション上の課題の原因を求めてしまっているのであれば、本書を読めばもっと冷静に、複雑に絡み合った出来事への解釈や思い込みといった要素に原因を見つけられる様になります。

コミュニケーションにお悩みの方には文句なしでお奨めできる一冊です。

参考リンク
持つべきメンタルモデルの一つとして本書を紹介

■最後に

今回は私の「人生の節目となった本5冊」を紹介しました。

勿論、あくまでその時々の私の知識、経験、置かれた状況などの要因があって、心震える読書体験につながったのだと思いますので、全ての人にとってそうではないと思います。(恐らく、今の僕が読んだとしても感じ方は違うと思いますし)

もしかすると、当時の私と同じような悩みを抱えている方には、良き本との出会いになるかも知れませんので、是非一度、書店などで手にとってみて頂ければと思います。

今回、僕の人生に影響を与えたという観点で、これまで読んできた本を振り返ってみたのですが、実に沢山の本に助けられてきたことを改めて感じました。今回紹介できなかった本も、また追々紹介できればと思います。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で